偽装事件が後を絶たないが、偽装を許しているのは、お客様の舌が、素材の違いまで分からない馬鹿舌であるからと考える。
お客が、この素材は違うとホールの人に言えば、料理人は偽装ができないはず。
WEBでニュースを見ていたら、次の内容が書かれていた。
・老舗ホテルで15年間修業し、自分の店を切り盛りして13年になるシェフが語る、その背景:
「ホテルはメニューに書いてあるものを『ありません』とは言えない。時期や流通の関係で、その産地の素材が入らなくても、メニューの書き換えはほとんどしないし、お客さんに説明もしない。融通の利かないのがホテルの悪い体質です」
・気をつけるべきポイントは?(同シェフの解説)
「バイキング料理を前面に出すホテルレストランは疑ってかかるべきです。あるホテルの料理長などは『バイキングの素材は冷凍食品が多いし、出来合いを二つ組み合わせてオリジナルソースとうたったりしている』と言っていました」
問題となったホテルの一つについても「宴会で材料が大量に残るため、バイキングレストランをオープンさせた」と言われていたという。
「ホテルでは、宴会で材料が大量に残ってしまう。だからバイキングレストランは、廃棄を極力減らす努力の産物でもあるんです」(ある料理人)
確かに、このホテルは、安いバイキングを売りにしていた。
一度、若手がここで宴会を企画したが、美味しくなかった。
・大阪府内のレストランで10年間修業し、店を持って17年になるシェフの証言:
「千円以下のランチで『平目』と出ていたら、怪しい。オヒョウというカレイを使っている可能性が高い」。 ただ、オヒョウと書いても客側にはわからないので、平目と書いている側面もあるという。
「安いメニューで『トリュフ』『トリュフ風味』と書かれているものも、中国産トリュフやトリュフオイルが使われていることが多い。偽装ではないのですが、香りはまったく違います」
・前出の元老舗ホテルのシェフのアドバイス:
「気になることは店に尋ねたり、ネットで調べたりしましょう。消費者がより賢くなれば、業界も手を抜かないはずです」
つまり、お客が素材の味まで分かる舌にしない限り、いつでも料理人は騙すということ。
お客から素材が違うと言われたら、料理人としては、プライドが許さないと考える。
但し、経営者と料理人では、考え方が違う場合もあるので、そこが難しいところである。
昔、近所の丘の上に、美味しい中華料理店があった。
安くておいしいので、土日は、40分以上待たないと入れなかった。
その後、経営者が変わり、料理人が替った途端、味が悪くなって、数か月後、閉店となった。
その時は、替った後の料理人の味が余りにも不味かったためである。
味が分かれば、そんな店は潰れる。
ホテルのお店が潰れなかったのは、お客が素材の味までは分からない馬鹿舌だったからである。
料理としては美味しかったと思うが、素材の味まで分からなかったと考える。
偶には、美味しい料理を頂くことが大事。