介護福祉士国家資格試験の問題集に載っている問題から。
問い 正しいものを選びなさい
1 生活困窮者自立支援法による事業は、2016年度(平成28年度)より開始された。
2 障害者虐待防止法では、虐待の通報や届け出の受理は、市町村障害者虐待防止センターの業務であって、都道府県障害者権利擁護センターの業務ではない。
3 雇用保険法は労働者災害補償保険法より前に制定された。
4 1974年(明治7年)に制定された恤救(じゅっきゅう)規則では、国家の責任を基本として貧困者を救済した。
5 ソーシャルインクルージョン(social inclusion)は、すべての人々が社会的孤立や排除などから援護し、社会の構成員として包み支え合うという概念である。
・・・介護の現場でこんな知識使ったことないよ(汗)
試験に合格するための勉強と、現場で利用者さんのためになる勉強とは、まったく別物なんですね。
あぁ、何で試験って小中学校からずっとこんな感じなんだろう?
暗記って苦手なんです。
調べればわかることは調べればいいじゃん! と思ってしまう。
ちなみに正解は5。
1の生活困窮者自立支援法が開始されたのは2016年度(平成28年度)じゃなくて、2015年(平成27年)4月から。
2の虐待の通報や届け出の受理は、「市町村障害者虐待防止センター」でも「都道府県障害者権利擁護センター」どちらも業務として行っているので、「都道府県障害者権利擁護センター」の業務ではないというのは誤り。
「障害者権利擁護センター」は、主に使用者(雇用者など)による虐待に係る通報又は届出の受理を行っており、他には市町村ごとに設置された「障害者虐待防止センター」の相互連絡の調整や情報提供、助言なども行っている。
3の雇用保険法は1974年(昭和49年)に制定されたので、労働者災害補償保険法が制定された1947年(昭和22年)より前に制定されたというのは誤り。
4の明治時代に制定された「恤救(じゅっきゅう)規則」というのは公的扶助の原型みたいなもので、国家に救済責任をおいたのではなく、地縁、血縁による相互扶助を基本とし、身寄りのない貧困者(無告の窮民)のみを救済対象としていたので、国家の責任を基本として貧困者を救済した、というのは誤り。
5のソーシャルインクルージョン(social inclusion)はソーシャル=社会的な、インクルージョン=包括、包含、という言葉からもわかるように、1980年代にヨーロッパにおこった政策理念で「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念であり、説明分の通り。
ちなみに「インクルージョン」(inclusion)の反意語は、「エクスクルージョン」(exclusion)で「排除・隔離」を意味する単語。
1980年代からヨーロッパでは移民問題や若者の失業問題が大きくなり、マジョリティー(多数派)とマイノリティー(少数派)の格差の問題が取り上げられてきました。「インクルージョン」とは「エクスクルージョン」=「排除」の対義語として出て来た言葉で、「排除」の対象になっている障害者や、ニートなどの若年失業者、移民など社会保障制度から抜け落ちてしまう社会的弱者といわれる人々を、社会(ソーシャル)から「排除」するのではなく、社会の構成員として包み支え合おう、という弱者救済のキーワードとしてヨーロッパで生まれた考え方です。
・・・はぁ、おぼえるの大変。
法律が何年に制定されたとか、横文字の意味だとか、これは市町村じゃなくて都道府県だとか、なんでこんな引っ掛け問題みたいなのが介護の資格に必要なの??(ちょっと被害妄想入っています 笑)
もちろんこんな問題はごく一部なんですが、筆記試験の合格基準に「総合得点60%以上」という条件の他に「11科目群(項目ごと)すべてにおいて得点があった者」というのがあるので、苦手科目も得点しないとその時点でいくら総合得点が高くても落とされてしまう。
筆記試験まで残り2ヶ月ちょっと。
だんだん不安になってきました(苦笑)
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