東京オペラシティアートギャラリーで
『アントワープ王立美術館コレクション展』
アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂
を観てきました。
副題に「アンソールからマグリットへ」とありますが、
作品数は少ないので、まあ"客寄せ"用の宣伝文句でしょうか。
東京オペラシティアートギャラリーに行くのは
昨年9月の「鴻池朋子展」以来、約1年ぶりです。
美術館自体は静かで広々としているのでとても好きです。
ただ、今回のような「○○美術館展」のような企画は、
正直あまり好きではありません。
色々な時代、流派?のものを"広く浅く"観ることになり、
全体としてあまり印象に残らないなあ、という感じになります。
そんな中で、ヴァレリウス・デ・サデレールの
《フランドルの雪景色》(1928年)
という作品が気に入りました。
画面の半分以上を空が占めています。日没寸前でしょうか。
夕日のオレンジから深い緑、黒へと移りゆくグラデーションが
とても印象的です。
マグリットの作品には、お得意?の巨大な岩が登場していました。
マグリットの絵のタッチは、
どこかイラスト的というか、それほど写実的ではないのですが、
なぜかこの巨大な岩だけは、いつ観ても恐怖感を覚えます。
逆にもっと写実的に、リアルに描かれていたら、
これほど怖く感じないと思います。不思議です。
ところで、
ベルギーという国はフランスとドイツに挟まれており、
ベルギー近代美術はその両国の影響を受けつつ
独自の発展を遂げていったらしいのですが、
これは音楽の面でも当てはまります。
私の大好きな作曲家、セザール・フランクは
活動拠点がフランスだったためフランスの作曲家とされてますが、
生まれはベルギーです。
(ベルギーワッフルで有名なリエージュ出身)
彼の作品は、フランス流の美しい華麗な旋律や神秘的な音色と
ドイツ伝統の重厚な響きや対位法的技法が組み合わされており、
それが独特の雰囲気を醸し出しています。
ヴァイオリン・ソナタの終楽章などよい例でしょうか。
親しみやすく美しい旋律を用いて、見事なカノンを創り上げています。