前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

聖☆おにいさん (中村光)

2012-03-13 20:32:36 | 
中村光さんの『聖☆おにいさん』を読んでいます。
(「聖」は「セイント」です)

天界から下界へと降りてきた休暇中のイエスとブッダのお二人(聖人)は、
東京・立川にある安アパートをシェアして、バカンスを楽しんでいます。


はっきり言って、ずるい!ずる過ぎます!!

世界で最も有名な方々(の内のお二人)ですので、エピソード(ネタ?)には事欠きません。
その上お二人ともキャラがたってるし・・・。

もっともその「ネタ」をどう「輪廻」させるかが作者の腕の見せ所なのですが。


まずは第1ラウンド。
イエスさんの悲鳴を聞きつけて飛んでくる天使達の「迫害されてませんでした?!」
で出鼻をくじかれました。

  その後も的確なジャブやフックで確実にダメージを受けます。
  (手塚治虫の『ブッダ』に感涙するブッダさんとか・・・)

続く第2ラウンド。
クレーンゲームの「カンダタ」!!!(←勘のいい人ならどんな場面か想像つくでしょう)

  ダウンするも辛うじてカウント9で立ち上がりファイティングポーズ。

そして魔の第5ラウンド。
不審者に間違われたイエスさんの身元確認をしようとした警察からの電話を
振り込めサギと疑ったペテロの一言。
「『知らない』って3回言ってニワトリが鳴いたら本物じゃね?」

  まさに"狙いすました"カミソリアッパーであっけなくKO・・・。
  (私が無知で気付いていない"パンチ"も多数あると思われます。)


かつてカール・リヒターが指揮した、バッハ大先生の「マタイ受難曲」について
  「この場面(ペテロの否認)を聴いて涙がこぼれない人は音楽を聴く資格がない」
とおっしゃった評論家がいたとか。

ならば今、こう言わねばならない。
  「この場面を読んで(別の意味での)涙がこぼれない人はマンガを読む資格がない」
と。


こういうマンガは日本でしか描かれないでしょう。きっと。

宗教を信じる・信じない(頼る・頼らない)は個人の自由です。
でも、天界からこんな「聖人たち」に見守られている、と考えるとなんだか救われますね。