先日、NHKスペシャル
『沢木耕太郎推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』
を観ました。
戦場カメラマン、ロバート・キャパの有名な写真「崩れ落ちる兵士」の謎。
あの写真が実際に戦場で撮られたものなのか・・・を検証する推理ドキュメンタリーです。
「崩れ落ちる兵士」
「崩れ落ちる兵士」自体の謎は、近年の研究もあり、ほぼ明らかになりました。
この写真と同時に撮られたほかの写真が発見されて、撮影場所が特定できたこと
写真に写っている銃が、すぐに実弾を発砲可能な状態ではない(ものが多い)
そして写真が撮られた時点では、その場所では戦闘がなかったこと
などの観点から「崩れ落ちる兵士」は、演習中にバランスを崩した人物を偶然撮ったもの、
と断定されます。
しかし番組はここから別の話に進みました。
「ロバート・キャパ」という名前は、エンドレ・フリードマンと彼の恋人であったゲルダ、
二人の競作ネーム(架空の写真家名)であることは知られています。
番組では、「崩れ落ちる兵士」の直前に撮られたと思われる写真に注目し、
この時の一連の写真も二人(キャパとゲルダ)で撮っていること、
CGによる仮想空間での分析・検証と二人が使っていたカメラの違いから、
「崩れ落ちる兵士」そのものはゲルダが撮ったものとの推論に至ります。
(被写体の身長や撮影場所である斜面を走り降りる速度など、
幾つかの"仮定"が含まれていますので、断定はできませんが)
実際の戦場ではない場所で撮られた(撃たれてもいない)「崩れ落ちる兵士」という写真が
アメリカの写真誌「LIFE」に掲載されたことで、
戦場カメラマンとして一躍、世界的に有名になってしまった22歳の若者。
しかも、その写真を実際に撮った(とされる)恋人ゲルダは、写真が「LIFE」誌に掲載され、
名声を得る直前に戦場で命を落としています。
その後「崩れ落ちる兵士」は、反ファシズムの象徴として一人歩きし始めてしまい、
その写真に対して、何も語れなくなってしまったキャパ・・・
(キャパもユダヤ系ハンガリー人でした)
"大きすぎる負債"を抱えたキャパが「運命の一枚」と決着をつけるために立ったのが、
1944年6月6日のノルマンディーでした。
ノルマンディー上陸作戦で最も多くの犠牲者を出した第一陣の部隊に同行し、
四万のドイツ兵が待ち受ける浜辺に命がけの上陸を試みる兵士達を
"発砲するドイツ兵に背を向けて"正面から撮影し続けたキャパ!
写真がぶれているのは、単に現像に失敗したという説もありますし、
「カメラマンの手も震えていた」との説明もあります。
しかし、そんなことはもう、どうでもいいでしょう。
本当の戦場で、死と隣り合わせの場所に立ち、本物の戦争を撮った・・・
その"事実"こそが、キャパ自身には必要だったのではないか・・・
あの「運命の一枚」に決着をつけることができたのではないか・・・
そう結論付けて番組は終わります。
震えるような、凄い番組でした。
『沢木耕太郎推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』
を観ました。
戦場カメラマン、ロバート・キャパの有名な写真「崩れ落ちる兵士」の謎。
あの写真が実際に戦場で撮られたものなのか・・・を検証する推理ドキュメンタリーです。
「崩れ落ちる兵士」
「崩れ落ちる兵士」自体の謎は、近年の研究もあり、ほぼ明らかになりました。
この写真と同時に撮られたほかの写真が発見されて、撮影場所が特定できたこと
写真に写っている銃が、すぐに実弾を発砲可能な状態ではない(ものが多い)
そして写真が撮られた時点では、その場所では戦闘がなかったこと
などの観点から「崩れ落ちる兵士」は、演習中にバランスを崩した人物を偶然撮ったもの、
と断定されます。
しかし番組はここから別の話に進みました。
「ロバート・キャパ」という名前は、エンドレ・フリードマンと彼の恋人であったゲルダ、
二人の競作ネーム(架空の写真家名)であることは知られています。
番組では、「崩れ落ちる兵士」の直前に撮られたと思われる写真に注目し、
この時の一連の写真も二人(キャパとゲルダ)で撮っていること、
CGによる仮想空間での分析・検証と二人が使っていたカメラの違いから、
「崩れ落ちる兵士」そのものはゲルダが撮ったものとの推論に至ります。
(被写体の身長や撮影場所である斜面を走り降りる速度など、
幾つかの"仮定"が含まれていますので、断定はできませんが)
実際の戦場ではない場所で撮られた(撃たれてもいない)「崩れ落ちる兵士」という写真が
アメリカの写真誌「LIFE」に掲載されたことで、
戦場カメラマンとして一躍、世界的に有名になってしまった22歳の若者。
しかも、その写真を実際に撮った(とされる)恋人ゲルダは、写真が「LIFE」誌に掲載され、
名声を得る直前に戦場で命を落としています。
その後「崩れ落ちる兵士」は、反ファシズムの象徴として一人歩きし始めてしまい、
その写真に対して、何も語れなくなってしまったキャパ・・・
(キャパもユダヤ系ハンガリー人でした)
"大きすぎる負債"を抱えたキャパが「運命の一枚」と決着をつけるために立ったのが、
1944年6月6日のノルマンディーでした。
ノルマンディー上陸作戦で最も多くの犠牲者を出した第一陣の部隊に同行し、
四万のドイツ兵が待ち受ける浜辺に命がけの上陸を試みる兵士達を
"発砲するドイツ兵に背を向けて"正面から撮影し続けたキャパ!
写真がぶれているのは、単に現像に失敗したという説もありますし、
「カメラマンの手も震えていた」との説明もあります。
しかし、そんなことはもう、どうでもいいでしょう。
本当の戦場で、死と隣り合わせの場所に立ち、本物の戦争を撮った・・・
その"事実"こそが、キャパ自身には必要だったのではないか・・・
あの「運命の一枚」に決着をつけることができたのではないか・・・
そう結論付けて番組は終わります。
震えるような、凄い番組でした。
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