老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

944 人を殺した死刑囚、死刑もまた人殺し

2018-10-01 03:20:48 | 読む 聞く 見る
 人を殺した死刑囚、死刑もまた人殺し

衝撃を受けた
死刑囚と教誨師(きょうかいし)の対話

にんげんの生死を突き付けられた


長く向き合った相手を、
別れの時は自ら「人殺し」と呼ぶ儀式で
見送らなくてはならない。

その矛盾に満ちた行為に、
いつしか心身ともに疲弊していった。
(堀川惠子『教誨師』講談社文庫 p319より



許されざる罪を犯し、
命で償えと送られてくる死刑囚。
彼らの未来は、
それ以上でもそれ以下でもない。

究極の「罰」を受けること。

死を突きつけられた人間に対して他人が、
そう簡単に「救い」など与えられるものではない、
その現実を、
渡邊はようやく受け入れたのだ。
(前掲書p330)

ただ相手の話に真摯に耳をかたむけ、「聴く」。
少しでも穏やかな時間を作る。
偏見を持たず、ひとりの人間として向き合い、
会話を重ね、時を重ね、同じ空間に寄り添う。
出来ることは、それだけ。
(前掲書p330)

親も子どもの声を聴く
ケアマネジャーも老人やその家族の声を聴く

相手の声を聴く前に
ケアマネジャーの目線で
相手の声を先読みし
介護相談や介護計画を作成してはいなかったか

要介護老人も死との隣り合わせに生き
「早くあの世に逝きたい」と囁きながらも
「穏やかに生きていきたい」と訴えている。


「死」はいつも、
自分自身が生きるか死ぬかという瀬戸際に追い詰められるまで、
常に他人事だ。 
(前掲書p49)

死」は他人事であってはならぬよう
また「死」に慣れてもいけない。

ひとりの老人の「死」から
自分の「生死」と重ね合わせ
老いはじめた自分も
残り少ない時間のなかで
生死を見つめて逝く。

老いに入ると
時間は2倍速3倍速にも感じてしまい
時間は残り少なくなる。


自然や草花、文化など
ゆったりとした時間を重ね
そのような心の空間を持つことで
他者の話を聴く、ゆとりが持てるのかも。