老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

ひとり暮らしの寝たきり老人

2020-07-18 06:33:09 | 介護の深淵

1598 27年前の在宅介護 老人ケア最前線「ホームヘルパーからの報告」❸

【ⅲ ひとり暮らしの寝たきり老人】

ひとり暮らしの70歳の女性です。
彼女は、大動脈炎症候群という病気を抱え
訪問看護師に尋ねたところ、血管痛がひどく、
心臓、頭など全身吊るようなような痛みが走り
重い物は持つことができないということです。

冷蔵庫の戸を開けるのも、ご飯を食べるときも
負担にならないように茶碗に盛り付けます。

彼女は血圧が高く、240/120といった数値で、病院へ行くのにも
社協から車いすを借りワゴンのタクシーを呼びます。
健康な人が歩いてほんの2,3分のところでも
彼女にとっては大変な外出です。

受診後、血圧が下がり安心しました。
「私は、いつ死んでもいいんですよ。家で死ねるなら、もういつでもいい」、と言いながら
血圧も安定したことで、精神的にもホッとした様子です。

薬の調整もあり、定期的な血圧の測定も必要になってきます。
保健センターに電話を入れ、週2回保健師が来てくれるようになりました。
ヘルパーも医師の指示や意見を伺いながら、血圧測定を始めました。
健康状態をメモし、週1回病院へ持っていき、薬の調整を行うようにしました。

医師も「急変のときはいつ何時でも電話を入れてください」、と励ましの言葉をかけてくれます。
彼女は「いつ死んでもいいです」、と仰っていたのですが、こうも話していました。
「私は、ひとりでは生きていけない。ヘルパーさんが来て、食事、掃除、洗濯、買い物などを
してくれるから生きていけるのです。本当にありがたい、と思っています。
夫が寝たきりになったときは、このような制度がなく、商売をしながら介護をしたので大変だった。
私の病気は夫が亡くなって、看病疲れで悪化したものです。あの頃を思うといまは天国です」。

このようにホームヘルパーの援助を待っている人たちは、市内にまだたくさんいます。
「福祉」という響きに戸惑い、本当な利用したいのに躊躇しているところがあります。
すべての人の意識、福祉意識の高揚(意識の改革)も非常に大切です。

また、ホームヘルパーは、障害、病気を抱えている老人を
明るく前向きに生活ができるよう必要な知識・技術を身につけ
温かな心で援助していくことが求められています。

21世紀に向けて、高齢社会の問題を考えると、近隣の福祉意識に高揚と
地域ぐるみの見守りは、いま、」急いでつくっていくことが不可欠の課題です。

27年前はまだ介護保険サービスがないときでした。
まだ、1年6ヶ月のホームヘルパーの経験であっても
湯川ヘルパーさんの在宅老人に対する思いとその行動力には
本当に頭が下がります。

いまならケアマネジャーが行っている医師や保健師との連絡調整や
車いす借用の手配なども行っていた。
当時はヘルパーの利用はまだまだ抵抗があり
「貧乏人が利用するものだ」、という風潮がありました。

21世紀に入り、いまは2020年になったが
介護保険制度スタート時に比べ
訪問介護の利用は制限が増え、利用しにくくなってきました。



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