1657 好きな人を産んでくれた人だから、大切にしてあげたい
丸福デパートに勤務している芝田由美は
上司との不倫を続けるかどうか
悩みながら妙高山の頂上をめざしていた
由美は「年配の男性社員からのウケがよい。
時間にルーズだし、仕事のペースも遅いので、
先輩女子社員からはきつくしかられることが多い」
(湊かなえ『山女日記』幻冬舎文庫 29頁)
休日のとき由美は、元原部長のお母さんに、週に1回、一人で会いに行っている。
認知症の症状もあり、完全介護の老人ホームに入っていている。
部長から「様子を見に行って欲しい」、と頼まれていた。
部長は母親の老いていき、物忘れをしていく姿を見るのが辛く耐えられないから・・・・。
(老母は、息子のことも、子どもがいることも忘れている)
部長の妻は、チャリティー活動が忙しいから、面会に行く時間がないから・・・・。
ホームの職員には「お母さんの妹の子って自己紹介しているんだ」と話す由美。
同僚の江藤は、そんなことって、納得できているの?、と由美に尋ねる。
「わたしね、お母さんのこと好きなのよ。だって、好きな人を産んでくれた人でしょう。
それだけで大切にしてあげなきゃって思うじゃない」(前掲書45頁)
愛人の老母の見舞いをする女
見返りもなく・・・・・。
どう思いますか?
愛人とは言え「好きな人を産んでくれた人だから、大切にしてあげたい」
なかなか言えない「言葉」であり、胸に詰まるものがあった。
それにしても好きな人かもしれないが、(私が)女だったら脛(あし)を蹴飛ばし別れるかな。
注;脛 「すね」と読むがここでは「あし」と読む
丸福デパートに勤務している芝田由美は
上司との不倫を続けるかどうか
悩みながら妙高山の頂上をめざしていた
由美は「年配の男性社員からのウケがよい。
時間にルーズだし、仕事のペースも遅いので、
先輩女子社員からはきつくしかられることが多い」
(湊かなえ『山女日記』幻冬舎文庫 29頁)
休日のとき由美は、元原部長のお母さんに、週に1回、一人で会いに行っている。
認知症の症状もあり、完全介護の老人ホームに入っていている。
部長から「様子を見に行って欲しい」、と頼まれていた。
部長は母親の老いていき、物忘れをしていく姿を見るのが辛く耐えられないから・・・・。
(老母は、息子のことも、子どもがいることも忘れている)
部長の妻は、チャリティー活動が忙しいから、面会に行く時間がないから・・・・。
ホームの職員には「お母さんの妹の子って自己紹介しているんだ」と話す由美。
同僚の江藤は、そんなことって、納得できているの?、と由美に尋ねる。
「わたしね、お母さんのこと好きなのよ。だって、好きな人を産んでくれた人でしょう。
それだけで大切にしてあげなきゃって思うじゃない」(前掲書45頁)
愛人の老母の見舞いをする女
見返りもなく・・・・・。
どう思いますか?
愛人とは言え「好きな人を産んでくれた人だから、大切にしてあげたい」
なかなか言えない「言葉」であり、胸に詰まるものがあった。
それにしても好きな人かもしれないが、(私が)女だったら脛(あし)を蹴飛ばし別れるかな。
注;脛 「すね」と読むがここでは「あし」と読む
私も義母には同じような感情がありましたから。
だから仲良くなれたと思う。
ちなみに、これはミステリーではないのですか?
義母は息子が嫁に「とられた」という感情がなければ
義母と嫁との関係はぎくしゃくしたものにはならないのかも。
「好きな人を産んでくれた人だから、大切にしてあげたい」
子どもも同じですね。
好きな人との間にできた子どもだから、大切にしたい。
人は悩みを抱えながら生きています。
人生も山登りも「楽」あり「苦」ありです。
山登りは非日常的な時間のなかに自分を置きます。
山道を歩きながら、悶々と自分を見つめ問い続けます。
頂上に辿りつくまでの過程で、自分がいま抱えている問題のゴールはどこか。
ゴールはないかもおしれない。
誰にも言えない思いを山登りを通し
希望(光)を見出していく。
そんな『山女日記』です。