自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

トウモロコシの葉紙

2015-10-13 | 野草紙

一本のトウモロコシには大きな葉が何枚か付いています。この葉で太陽の光をたっぷり受けて光合成を行います。光合成によってつくったでんぷんを本体の成長に使うとともに,種子を充実させるために使います。

大きな葉を支えているのは,もちろんそれなりに丈夫な葉脈です。透かして観察すると,平行脈がたくさん見えます。しかし丈夫だといっても,わたしたちの手で千切ると簡単に千切れます。したがって,葉の大きさに見合った強度をしている,と言い表すほうがぴったりかもしれません。風などの影響をすこし受けるだけで葉が破れたり千切れたりしてしまうのでは,トウモロコシ本体の生存にかかわってくるでしょう。

それはともかくとして,この葉脈が紙料として使えそうです。そう思い,葉を持ち帰って煮ることにしました。

3時間ほど煮ると,ずいぶん柔らかくなってきました。それを水洗いして両手でギュッとつかむと,ほんとうに柔らかいなあという感じがします。


これならミキサーにかけても大丈夫だと判断。結果,細かな繊維が取り出せました。これが紙料です。下写真は,右から左に向かって変化の順を追ったものです。


さっそく漉きました。そうして乾かしました。紙としては立派に(?)合格点が与えれられる紙質です。これを,トウモロコシの葉の傍において写真に収めました。


トウモロコシのように長い葉には,長い繊維があります。長いと同時に,しなやかでもあります。したがって,良質の紙ができて当たり前なのです。植物の生活形を考えながら紙を漉くおもしろさが見えてきます。