繊維の長さ,太さ,それに色にメリハリを付けて紙をつくると,いろんな表情が見えてきておもしろくなります。一律同じような繊維だけでつくった紙には,均質感はあるのですが,手漉きのおもしろさ,素朴さが損なわれる場合があるように思います。
せっかくの機会なので,いくつかの試みをして,Mさんがどのように解釈なさるか,それをたのしみにしておこうと思い立ちました。この試みは次のとおりです。
① 繊維の色を見て,2種類に区分けする。
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② 量の多い褐色繊維については打解・叩解工程で3種類の紙料をつくる。
量の少ない黒色繊維は1種類のままとする。
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③ 試作紙をMさんに吟味してもらってから,必要な紙を漉く。
こうすることで,紙質に多様な表情が現れます。
下写真は色で分けた繊維です。褐色と黒とはっきり違いがわかります。黒い繊維は黒色腐朽菌が関係してできたものでしょう。
打解・叩解工程で使用した道具はミキサーです。今回は石臼を使った手作業はしませんでした。
得られた紙料はしたのものです。①~③褐色繊維で,細かな繊維から順に並べています。④は黒い繊維です。
次はいよいよ漉く工程になります。作業の実際については次回に取り上げます。