自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(70)

2017-09-14 | 随想

アンケートによる外部評価で,とてもたいせつなのは自由記述欄だと改めて感じています。この欄は主観が反映されるため扱いがむずかしいのですが,わたしたちの姿勢や気づかないマイナス部分の指摘がチクリとなされることで大いに役立ちます。指摘点を積極的に生かしていかなくてはなりません。ただし,妥当性があり,合点できる範囲内の話です。

 

日頃から手作りを大事にした展示に心掛けているところですが,逆にその裏舞台が見えていて整理づいていないという指摘例。玄関周辺の,狭い空間に詰め込んだ印象を与えた掲示物の例。飼育中の生きものの餌を取り替えていないという指摘例。

それらは一つひとつもっともな指摘であり,来館者はよくご覧になっているなあと,わたしは納得できました。なかには直接わたしが責任を持って対応しておかなくてはならない事項もあります。痛い点をチクリと教えていただいた思いがしています。

そこからは,わたしたちの脇の甘さが見えてきます。もしそうすることで波風が立つような職場なら,古い体質を引きずっている証拠。わたしは,学校という職場でその経験を十分にしてきました。とりわけ,ベテラン職員の保身の弁,言い換えると言い訳です。 

来館者本位のサービスを考えるというのはそうした自分勝手な解釈を超えて,来館者の目線に立つということです。独りよがりの判断はいつも曲がったままです。先日,そのことをわたしは職員に伝えて,書かれた文言について簡単に感想を述べました。

 

なかにはこんな方もあります。アンケートはパンフレットに挿入し,提出自由というスタイルです。そのアンケートを出し忘れたというので,律義にもわざわざ郵送でお届けいただいた方がお一人。しかも,隣県から。恐縮です。自由記述欄にはこうありました。

「今回,様々な施設に行った中で,ここが一番面白かった」

ここで引用することは手前みそのようにも思えるのですが,郵送で送付した行為の丁寧さと重みを素直に受けとめてよいのではない思い,敢えてそうしました。

日頃から外の目で点検すること,そしてできるだけ自分の内にも外の目視点を醸成することがいかにたいせつか,よくわかります。それは,世阿弥の教え『離見の見』にもつながっていきます。