モンシロチョウほど孵化が観察しやすい昆虫はいないでしょう。畑の野菜にいくらでも産卵するので,観察しようと思えばいつだってできる昆虫です。なのに,孵化の瞬間を見ることはなかなかたいへんです。というのは,今か今かと待っていてもなかなかその瞬間が来ないし,待っているうちにさっさと孵化を終えていることがほとんどなのです。
そんな観察を続けているうちに,孵化が始まるときから観察ができることだってあります。以下の例はその一つです。
卵の高さは1mm。殻をとおして複眼も口も見えています。
観察中に卵が葉からぽろりと落下。わたしの不注意です。「しまったー!」。このときの気持ちです。「どうしてもこの卵の変化を見届けなくちゃ!」と思い,なんとか葉の上に置きました。
その後何度となく注意しながら見ているうちに,たまたま孵化が始まりました。
頭が出始めました。透明感のあるきれいな頭!
身を乗り出して殻から出ようとします。
さっさと出終わりました。なにもかも透明感があって,初々しさが漂っています。
始まりから終わりまでを観察できると,ほんとうにハッピーな気持ちに浸れます。この事例はそんな事例の一つです。