自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

冬,虫の目写真(11) ~アメリカセンダングサ~

2018-01-04 | 植物

植物は動物のように自在に動き回ることができない生きものなので,分布を広げるための戦略にあの手この手を駆使しています。

露わになった種子が動物のからだを頼りにして,遠くに運んでもらう作戦もその一つ。いわゆる“引っ付き虫”“くっ付き虫”と呼ばれるものです。より確実に運んでもらうには,簡単に落下しないしくみを発達させなくてはなりません。

そういえば,野で撮影していると引っ付き虫にやられて,散々な目に遭うことが度々あります。引っ付き虫の目から見れば,「大成功!」「しめたー!」と拍手喝采したくなる瞬間なのです。人間なら始末ができますが,野生動物やら家畜類ともなるとなるがままです。ということは,分布域を相当に広げることが可能になるということです。

河川敷で,その種子を写してみました。種子の目線で,今後の行方を思ってみるのは愉快な話です。今日はアメリカセンダングサが被写体です。

朝日を浴びて種が輝きます。先端の二股突起が散布仲介者を待ち受けます。撮影時,わたしも仲介者になってしまいました。落ちてしまった種子もあります。無事に育つでしょうか。

 

昼,別の場所で。種子の密集風景です。恐る恐る近寄って撮影しました。

 

晴れ渡った青空目がけて,種子たちがパァーッと開いています。気持ちよさそう!

 

国道脇に生えたアメリカセンダングサを撮りました。一株は一つの種子から育ったもの。こんなに成長して,いったい何倍の種子を生産するのでしょう。どれだけ多くを生産しても,自然界で生き残れるのは常識的にいえば,種子一個から一粒だけ。きびしい!

 

自動車が通り過ぎるたびに,種子が揺れます。揺れることですこしは株から離れたところに落ちるでしょう。それも分布域を多少なりとも広げる作戦につながっているのでしょうか。

 

アメリカセンダングサの花を思い浮かべると,いちばん印象に残る訪花昆虫はキタキチョウです。わたしが見た株でも,結実にずいぶん貢献したはず。レンズを通して植物を見ていると,生きもののいのちや相互のつながりを強く感じます。