元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

ラーメン湯切りのパフォーマンス性

2004年12月07日 | ラーメン総合研究所
僕が店やっている唐津には無縁な話ですが、
ラーメン界は特徴的な湯切りする店が増えてきて
います。その昔、テボ使うラーメン屋は邪道で、
平ザルを使いこなし一人前と言われていました。
だが、時代は変わり今注目されているラーメン職人は、
テボタイプばかりだ。天空落とし、つばめ返し、
二刀乱舞、月光三段切り、震源地、ジャンピング湯きり、
竜神神隠し、荒野の背面切り、等など様々な湯きり
テクニックが出てきた。平ザルは、麺を釜内で泳がせ
手早くザルで回転させながら湯きりする。
対するテボは狭いザル内で茹で、麺を広げられない
重なった状態で湯きりをするから、上下させるだけじゃ甘い
湯きりになる。だが、大きくテボを動かし遠心力を
利用すれば、平ザルにも負けない湯切りが可能に成るのだ。
しかし、湯きりがパフォーマンス性重視に成り、
実際には不要な大きな動きを用いたり、必要以上に
湯きりすると、麺が擦れすぎ、冷めてしまう。
手早くする事が、平ザル、テボ両方に必要です。
平ザルでは、ラーメン毎の茹で時間に差が生じるが、
(一度に3玉~5玉を釜内で泳がせても、取る時は
1玉づつですから、最初、最後で茹で時間違う。
差し水で麺茹で釜の沸騰を押さえ、スープ温度に茹で湯を
下げる方法あるが、職人技であり難しい)
テボはそれが無く、時間差で1玉ずつ追加したり可能な
使い勝手の良さが普及の理由でしょう。
そもそも、湯きりとは何かと言うと、茹で湯を
スープに入れない為に行う。麺茹で機や、釜の湯は
頻繁には変えられないから、当然濁っている事が多い。
それがスープに混ざると、雑味になるし、スープが薄まる。
それを防ぐ為に、茹で湯は完璧に切らないといけない。
テボタイプは大きな動き出来る利点から、パフォーマンス
湯きりも生まれたのでしょう。
カクテルって映画の影響からか、
カクテル作るのに、ビン投げたり、様々なテクニック駆使した
パフォーマンスが話題を呼んでいる。以前バーテンは、
シェイカー振るのが一番の見せ場だったが、
今や見せ場が豊富な芸達者なバーもある。
ラーメン界の湯きりパフォーマンスも、お客様を楽しませる
姿勢は悪く無いです。
味に関係無い大げさパフォーマンス(味に悪影響及ぼす
パフォーマンスもある)は、どうかと思いますが、
二天のツバメ返し、中村屋の天空落としは、素晴らしい技だと
思います。僕も”オーバーザ・レインボー”って湯きりを
やっていますが、何て事無く、釜で数回高速で切り、
釜から離しながら下で切り、仕上げに頭上高く振り上げ、
斜めに切ります。対した技じゃ無いですが、パフォーマンス
に走った数年前や、平ザル湯きり時代、麺を空中に投げ飛ばし
皿で受け取る、替玉技法の頃とは違い、お客を湯きり
で楽しませるのでは無く、おいしいラーメン提供する為に
必要な技なんです。HR/HM界を技を競ったり、
ライヴパフォーマンス重視の音楽では無く、
素晴らしい旋律、リズムを一番に考えて欲しいです。