元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

ラーメンの高級化時代

2004年12月10日 | ラーメン総合研究所
ラーメン屋もソバ屋みたいに、高級派、庶民派
に分かれている時代である。ソバ屋も立ち食い
ソバタイプもあれば、懐石料理スタイルでは
盛りソバで数千円する店もある。
立ち食いソバで、3たてや、揚げたての具は無いが、
安い、早い、旨いから皆、利用するのだろう。
ラーメンも庶民派食べ物の代表格だが、近年
高価な厳選素材を扱った店が多く出てきた。
器、内装、調度品にも高価な物を使い、
お洒落な雰囲気のラーメン屋も珍しく無い。
汚い、臭い、恐いイメージが長年根付いていた
ラーメン業界に、高級、豪華さが来るとは数年前まで
想像つかなかった。福岡にも5万円のラーメンが
あるが、一般的ラーメンも高騰しつつある。
もう都会では、鹿児島、札幌の通常ラーメン価格に
負けない800円~1000円なんて平気である。
ラーメンレシピの書かれた本を読むと、とても
田舎の個人店では手が出ないような、高級素材が
山程使われていて、当店の集客から考えるなら、
売値1杯3000円でも元取れない材料になるだろう。
確かに高級材料使い、とことん拘るなら、理想の
ラーメン出来るだろう。美味しい物にはいくらでも出し、
人口密度が高い、都会の回転率なら、理想通りでも
商売出来るかもしれない。しかし、僕が店を
やっている唐津は違う。15人~70人の集客では、
今でも採算割れする。
 元々戦後の中華そば屋は、クズ野菜、少量のガラ類で
ダシをとっていた。野菜の切れ端も、ガラもゴミだった
時代だ。タダの材料が、日本におけるラーメン文化の
原点なのだ・・。日本も経済的豊かになり、
食うに困らなく成ると、もっと旨い物とグルメ志向
に走り出した。ラーメン屋も無数に増えだし、
同じスープ分量でも、昭和中期頃の
スープ材の10倍以上は何処でも使っている。
そうなると、ゴミだったトンコツ、鶏がらは、
高額で取引されるように成り、昔ながらのラーメン
作っている店でも苦しい状況だ。
当店は、国産の素材にこだわっているが、
ブランド銘柄、産地、厳選素材とは無縁だ。
いわゆる、ありふれた材料ばかりを使っているが、
信念をかけて1杯のラーメンを作っている。
材料自慢、腕自慢では無く、みすぼらしくとも
精神は気高くありたい。ありがちな材料だから
こそ、アイデア、知恵、工夫を凝らさないといけない。
珍しく無い素材が、斬新な珍しい複雑な味わいに
化けた時、達成感とやりがいを感じる。
近年ブームの重層型スープが当店スタイルだ。
あっさりしつつも、複雑、深いコクで、
懐かしいのに新しい味わいです。
商売でラーメン作りしていますが、お金の為だけに
やっているのでは無い。
ラーメン作れるだけで、幸せで、生きがい
感じます。だから価格も350円~提供しています。
都会の350円とは異なり、お客様が少ない
立地でこの値段は正直キツイですが、僕が思うに、
ラーメンは大衆食であり、庶民の食べ物であって欲しい。