This is an unforgettable story about the ability of books to feed the soul.
こちらのキャッチ・コピーがこの作品の真髄を短く美しく語っているように、本の存在価値と言葉の魅力について描かれた本です。主人公は抗えない魅力にとりつかれて本を盗みます。そして本を読むことによって多くの人の心を癒していくのです。その一方で彼女はヒトラーの存在から「言葉の恐ろしさ」をも実感してしまうところがなんともやり切れません。
この作品が多くの人々の心を掴む最大のポイントは、登場人物の一人ひとりがとても個性的ながら、思いやりの気持ちに溢れる美しい心の持ち主だからでしょう。
読者は無意識のうちに主人公たちに寄り添い、彼らの息遣いを感じ、同じ光景を眺めている様な気持ちになるのです。これはキャラクターの魅力のためだけではなく、作者による言葉のマジックによるものなのでしょう。主人公が本に吸い寄せられていく姿を追い続けているうちに、いつのまにか私たちも作者のひるがえした言葉の魅力というマントの中にくるまれた感じになります。
バラバラになっている、一つの言葉、一つの行動、偶然が、運が、気づいたら必ず連鎖していて、物語を紡いでいくところには感嘆せずにはいられません。
私がこの本の一番好きなところは、作家による登場人物への愛情表現の仕方です。
特に憎まれ役のフォスター・マムのローザに対する彼の気持ちに胸を打たれます。
現代の作品で特に多いのが、悪い者または憎まれ役に対して「過去のトラウマが彼をこんな風に」「恵まれない生い立ちが彼女をこうゆう行動に走らせた」など、理由を付け加えて少し擁護をしようとする傾向です。あとから申し訳程度に「性善説」をちらつかせるというか。
そういうのに辟易しているので、この作品のローザ、映画「シャーロット・ウェブ」のテンプルトン、昔懐かしいアニメ「ムーミン」のミーなど、不器用で上手に表現はできないけれど人を思いやる気持ちをもった人物を愛情たっぷりに描き出してあるところがとても魅力的だと思うのです。
英語は正直なところ決して簡単だとは言えません。語彙が難しいわけではないのですが少し読みづらい面があります。
最初はドイツ語からの翻訳がなかなかスムーズにいかなかったんだなぁなんて思っていたのですが、最初から英語で書かれた作品なんですよね。
結局読みづらい原因はわからないままなのですが、そこを気にしないで流す心構えで、未読の方はぜひこの本を手に取ってみて欲しいと思います。500ページを超す大作ではありますが、いつもの私が感じる「ここ削っても良くない?」という部分がないくらい、どこもかしこも大切な一場面となっています。物語はいつも「何か」が起こるドラマティックな展開なので、読みづらいといえども話が分かりづらいわけではありません。
「本泥棒」というそのままのタイトルで日本語訳も出ているそうです。
評価は迷うことなく 10 out of 10 です。 MUST and unmissable !!
本当は思うところたくさんあるけれど、もう書けないくらい心を奪われちゃいましたので、これくらいで。
こちらのキャッチ・コピーがこの作品の真髄を短く美しく語っているように、本の存在価値と言葉の魅力について描かれた本です。主人公は抗えない魅力にとりつかれて本を盗みます。そして本を読むことによって多くの人の心を癒していくのです。その一方で彼女はヒトラーの存在から「言葉の恐ろしさ」をも実感してしまうところがなんともやり切れません。
この作品が多くの人々の心を掴む最大のポイントは、登場人物の一人ひとりがとても個性的ながら、思いやりの気持ちに溢れる美しい心の持ち主だからでしょう。
読者は無意識のうちに主人公たちに寄り添い、彼らの息遣いを感じ、同じ光景を眺めている様な気持ちになるのです。これはキャラクターの魅力のためだけではなく、作者による言葉のマジックによるものなのでしょう。主人公が本に吸い寄せられていく姿を追い続けているうちに、いつのまにか私たちも作者のひるがえした言葉の魅力というマントの中にくるまれた感じになります。
バラバラになっている、一つの言葉、一つの行動、偶然が、運が、気づいたら必ず連鎖していて、物語を紡いでいくところには感嘆せずにはいられません。
私がこの本の一番好きなところは、作家による登場人物への愛情表現の仕方です。
特に憎まれ役のフォスター・マムのローザに対する彼の気持ちに胸を打たれます。
現代の作品で特に多いのが、悪い者または憎まれ役に対して「過去のトラウマが彼をこんな風に」「恵まれない生い立ちが彼女をこうゆう行動に走らせた」など、理由を付け加えて少し擁護をしようとする傾向です。あとから申し訳程度に「性善説」をちらつかせるというか。
そういうのに辟易しているので、この作品のローザ、映画「シャーロット・ウェブ」のテンプルトン、昔懐かしいアニメ「ムーミン」のミーなど、不器用で上手に表現はできないけれど人を思いやる気持ちをもった人物を愛情たっぷりに描き出してあるところがとても魅力的だと思うのです。
英語は正直なところ決して簡単だとは言えません。語彙が難しいわけではないのですが少し読みづらい面があります。
最初はドイツ語からの翻訳がなかなかスムーズにいかなかったんだなぁなんて思っていたのですが、最初から英語で書かれた作品なんですよね。
結局読みづらい原因はわからないままなのですが、そこを気にしないで流す心構えで、未読の方はぜひこの本を手に取ってみて欲しいと思います。500ページを超す大作ではありますが、いつもの私が感じる「ここ削っても良くない?」という部分がないくらい、どこもかしこも大切な一場面となっています。物語はいつも「何か」が起こるドラマティックな展開なので、読みづらいといえども話が分かりづらいわけではありません。
「本泥棒」というそのままのタイトルで日本語訳も出ているそうです。
評価は迷うことなく 10 out of 10 です。 MUST and unmissable !!
本当は思うところたくさんあるけれど、もう書けないくらい心を奪われちゃいましたので、これくらいで。