hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

The Diving Bell and the Butterfly

2011年02月23日 | 映画
 ELLE誌の編集長であるジャン=ドミニク・ボビーは、ある日脳溢血に襲われたが一命を取り留め、リハビリのためパリから北部海岸の街ベルク([[Berck]]の療養所へと移床される。
 3週間におよぶ昏睡の後、意識と記憶は回復し、音は聞こえるが、言葉を発することはできず、全身に亘っての重度の麻痺が残った、Locked-In syndrome の状態になってしまった。
 全身の運動機能を完全に失ってしまった現在、唯一動かせたのは左目のまぶたのみだった。(ja wiki から)

 カメラのアングルがユニークな作品。大半の場面が主人公の目がカメラになっている。
 オープニングでは意識がしっかりしていないことでぼんやりとした映像になっていて、その後片方の目に問題があるということで縫って塞がれてしまうので、今度は残った片目だけからの映像となる。体を動かすことができないので、映し箇所が変わっているけれどそれもまた良し。
 前半は姿がスクリーンに映らないにもかかわらず、主人公の存在の主張、もどかしさ、いらつき、あせりなどが伝わってきます。
 人との新しい形の関わり合いと記憶を辿ったことにより変化していく主人公の心と彼の成長が静かに語られている作品です。
 とにかく映像が素晴らしい一品。
 苦手なカンヌ系なので、タイトルにある diving 部分や butterfly 部分は良く分からないし、ストーリー自体の一番伝えたいメッセージみたいなものは実はわかっていないのですが、、独特な映像感覚のある芸術作品の鑑賞として楽しみました。
 
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