『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 1131

　夕食の場では、１０数箇所の焚火の島がつくられている、盛りの炎があがっている。串に刺された食材が各島に配されている。
　テムノス方の者らが場を囲んで列を整えていた。
　イリオネスら一行が場に到着する。盛大に拍手が沸く、拍手で迎えられるイリオネスら、テムノス浜頭が進み出てくる、彼はイリオネスを迎えた。
　『おう、イリオネス軍団長殿、ようこそ、我らが浜へ見えられた。心からの歓迎です。気楽にくつろいでいただきたい』
　『テムノス浜頭殿、私らの突然の訪問、夕食への招待、このようにして迎えていただいて感激のいたりです。浜頭殿のご厚意にどのように応えればいいか戸惑っています。まことにありがとうございます。浜頭殿の言葉に甘えて、大挙して一行でまかり越しました。喜んで馳走になります。何卒よろしく願います。これは些少ですが、受納いただければ幸いです』
　イリオネスは述べる、深く低頭する。それにつれて、傍らに立つオキテス、スダヌス、ギアス、ゴッカスらが低頭する。
　『オキテス、持参した品をお渡ししてくれ』
　『これはこれは、たいそうな品々、そして、丁寧な言葉をありがとう。イリオネス殿、喜んで頂戴する。今宵は、この私の浜で心置きなく過ごしてください。いろいろ話し合う話題があると思う、こちらへどうぞ』
　テムノス浜頭は、オキテスとスダヌスにも声をかけ焚火の島へと誘った。
　ギアスら、ゴッカスらは、テムノス方の者たちに案内されて焚火の島に分散してつく、テムノス浜頭が彼らに歓迎の意を伝える。
　『諸君らは、ようこそ、我々の浜へ来てくれた。大歓迎である。君らとは新艇受け取り時より顔見知りの間柄である。旧交を思い起こして、心おきなく夕食を楽しんでくれ』
　テムノス浜頭が自席に就く、声をあげる。
　『では、夕食の乾杯をやる！一同、準備はいいか！』
　場を見渡すテムノス、状況を確かめる、深く息を吸う、声をあげる。
　『一同に告げる！今日の夕食会をたのしくすごしてくれ！乾杯っ！』
　場からも『乾杯！』の声があがる。
　場に集う一同が酒杯を高く差し上げ、口に運ぶ、一気に飲み干す、場から大歓声があがる、場の緊張が解けた。
　一斉に焼きあっがっている食材を口に運ぶ、酒を口にしてのみ下す、その『旨さ』に一同の顔がほころぶ、夕食会が盛りあがった。