『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1150

2017-10-27 10:07:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一同が席に就く、エドモン浜頭が口を開く。
 『イリオネス殿、まだ、会ったことはないが、アエネアス殿は、元気に過ごしていられますかな?』
 『はい、元気に過ごしています。これを我らが統領から預かってきております。受けとりください』
 イリオネスは、アエネアス統領からの贈り物をオキテスから受け取り、礼を尽くしてエドモン浜頭に手渡す。
 『おう、ありがとう。喜んで頂戴いたします。帰られたらよろしく伝えてください』
 エドモンは、受け取った包みのひもを解く、箱からいただき物を取り出す、一同の目に広める。
 それは美事な細工が施された、美麗極まるトロイ時代、プリアモス王家に伝わっていた金でできた細工物であった。
 『お~お、これはこれは、美事な品ですな!このエドモン、ありがたく頂戴いたします。感激です!帰られたらアエネアス統領によろしく伝えてください』
 エドモンは、イリオネスに向かって、丁重に頭を下げた。
 『テムノス殿、見てください』
 エドモンがテムノスに手渡す、見入るテムノス、その細工物の美麗さに驚く、スダヌスがのぞき込む、彼もその類まれなる細工に見とれた。
 息子のイグデスがぶどう酒と火を通した干魚を運んでくる。
 『おう、皆さんつまんでください長途の航海、疲れたでしょう』
 『いや、そうでもありません。いい天気、いい風に恵まれての心いい船旅といったところでした。乗り組んでいた全員、ほとんど疲れがないといった具合です』
 『おう、イグデス、これを見ろ!アエネアス統領からの戴き物ものだ』
 イグデスがその戴き物をじい~っと見つめる、彼は感動を隠さず、その見事さに驚きの目を見張った。
 イリオネスがオキテスに声をかける。
 『オキテス、息子さんに渡してくれ』
 イリオネスらが携えてきた堅パンのケースをイグデスに手渡す、イリオネスが口上を述べる。
 『エドモン浜頭、これは私らのところで焼いた堅パンなるものです。皆さんで笑味してください。ちょっとした航海の携行食糧にもなります』
 『そうですか、ありがとう!いただきます。イリオネス殿からいただくものは珍しいものばかりですな』
 エドモンが礼を述べる。
 『この前に見えたときに頂戴した『方角時板』重宝しています。本当にありがとうございまいた』
 テムノスが口を挟む。
 『エドモン浜頭、その『方角事板』とは、いかなるものですかな?この俺が初めて耳にする代物ですか?』
 『おう、それは言えてる。明日にでも目にかける。テムノス、見て驚くなよ』
 『それはそれは、明日が楽しみだな』
 話が一段落する、エドモンがイリオネスに問いかけた。