『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1146

2017-10-23 10:27:18 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イラクリオンの浜を視野にいれたスダヌスは、艇を難なく係留するため、ヘルメス艇より艇長の長い試作戦闘艇の舵の切れ具合と艇尾の振れ具合、舳先の方向むきの操舵感覚を把握するためにジグザグ走行を試みる。
 『ホッホウ、この感覚だな!』と、彼はその性向を掌握した。
 テムノスが艇尾より前席に移る。
 『あ~あ、テムノス殿ご苦労でした。新舵の具合はいかがでしたか?』
 試作戦闘艇の最前席に座しているイリオネスがテムノスを隣席に迎えた。
 その席に座したテムノスにさりげなく声をかける、その問いかけにテムノスが応じる。
 『お~お、イリオネス殿、新舵の具合をたっぷりと堪能しました』
 横並びの二人が顔を合わせる。
 『あれはなかなか具合がよろしい!櫂舵に比べて、操舵の切れ具合がはなはだよろしい!操作しての反応の即応性がいいね、櫂舵では即応効果があのようにはいきませんな。艇尾の振れ具合、操作反応とその方向制御になれがいります。舵構造としては、明らかに進歩しています。いい体験をしました』
 『そのように評価していただける。とても喜ばしい限りです』
 『あと半刻くらいでイラクリオンの浜に着きます。イリオネス殿の今日、明日の予定を聞いておけばいいのですが。私もエドモン浜頭と話し合いたいと考えています』
 『そうですか』
 『マリアにおけるあなた方の業務の手伝いをどのようにするかを考えています』
 『テムノス殿、ありがとうございます。力添え感謝いたします。行動予定を次のように考えています』
 イリオネスがテムノスと目を合わせる。
 『私のエドモン浜頭を訪ねるのは、前回の訪問より時日を経ての訪問です。今回の営業航海の事情を話し、明日、明後日の私らの予定を話したうえで、その対処かたを示唆いただき、留意しなければいけないことを聴こうと考えています』
 『解りました。試乗会の催行は明後日にやるといっていましたね。それだけ聞いておけば安心です。私として、どのように手伝うかをエドモン浜頭と打ち合わせます。そのうえでその件についてまたイリオネス殿と打ち合わせます』
 『ありがとうございます。マリア集散所のこの部門の担当者とは、見ず知らずの私らです、テムノス殿の力添えがあれば私らの業務展開がいい具合に進展すると考えられます。世話をかけます。よろしく願います』
 『解りました。いいでしょう。力を尽くします』
 二人の打ち合わせが終わる。
 艇の進む前方にイラクリオンの浜が見えてきていた。