『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1144

2017-10-19 06:22:37 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『はい!考えます』
 二人は会話を中断して思考に集中する。艇は、好みの走行状態で波を割っている、身をゆだねる、時が進む、テムノスが声をかける。
 『スダヌス、何事か考えついたか?考える課題と言ってもむずかしく考えるな。我々がやっている集散所の日常の関連事だ!』
 『解りました』
 少々の間である、会話が途切れる。
 艇が揺れる、果てしない空、波打つ海洋、景色を眺める。
 いま、身を投じている課題の思考に集中している。テムノスは、エドモン浜頭と話し合う論点を懸命に考えた。
 『おい!スダヌス、話し合うべき課題が決まった!話し合い開始だ』
 『いいでしょう。始めましょう。私の提案を聞いてくれますか』
 艇にゆられながら身構えるスダヌス。
 『おう、いいぞ、話してみろ!』
 『今、そして、これからクレタ島で船舶を取り扱う主役は、大船は別として、中小の船を扱うのは、集散所であるのではないかと考えられます』
 『おう、然りだな、言えている』
 『その集散所が海の近くに立地していることが、この種の取引に有利だと考えられます。そして、考えられることは、この種の取引経験がある集散所が有利に取引を展開させることができる。それ故に、この種の客が集まりやすい集散所立地が好ましいと考えられます』
 『おう、お前、いいところを突いている。船舶のような大型商品を取り扱う場合、そのような取引になれていることが取引環境がいいといえる』
 『言われる通りです』
 『そのように考えた場合、お前や俺のように海事関係の仕事で生きている者にとっては、キドニアまたはマリアの集散所を介することが好都合であるな』
 『言えています』
 『このクレタ島にある5つの集散所を総括しているとはいえクノッソスの集散所は、海から遠いとは思わないが近くではない。ほかにザクロス、フエストスと集散所があるが、集客といった観点から見て評価すると好適な立地の集散所とは言えない』 
 『そうですね!』
 『クノッソスの集散所は、総合した取引のスケールが大きいとは言うものの中小船舶を取引するには好適とは考えられない。お前はどのように考える?』
 『テムノス浜頭の言われる通りです。両手ばなしでうなずけます』
 『次だ。船舶の取引は、今後どんな風に展開していくと考えられる?』
 テムノスは、新たに課題を投げてきた。