メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

セザンヌ主義 (横浜美術館)

2009-01-06 21:30:42 | 美術
セザンヌ主義  父と呼ばれる画家への礼賛 ピカソ・ゴーギャン・マティス・モディリアーニ」 (横浜美術館 2008年11月15日~2009年1月25日)
 
展覧会の副題にあるように、ポール・セザンヌ(1839-1906) およびセザンヌに影響を受けた内外の画家たちの作品を、女性肖像、男性肖像、水浴、風景画、静物画などに分類して展示したものである。
 
セザンヌへのオマージュが主であり、セザンヌの作品そのものは自画像、セザンヌ婦人、静物の一部をのぞくと、わざわざ出かけて見るほどでもないのが残念である。例えば、サント=ヴィクトワール山はカルダンヌから見たもので、通常のエクス・アン・プロヴァンスから見たものとはことなり台形状になっている。
 
今回のラインナップはほとんど国内にあるものを集めているのだから、ヴィクトワール山もこの横浜美術館のもの以外に例えばブリヂストンから借りてくれば、セザンヌ見たさにここを訪れる人たちがもう少し満足しただろう。
 
他の画家ではモディリアーニ、ブラック、ピカソなどのほか、日本の画家では安井曾太郎、岸田劉生、佐伯祐三、小野竹喬、小出楢重、中村彝などある中で、これまで名前くらいしか知らなかった森田恒友、川口軌外の二人にいい絵があった。これは収穫。
 
全体として、セザンヌ単独展覧会なみの入場料を払うなら、ブリヂストン美術館の常設展に行けば充分である。今回のストーリーがどこかに記録されているか、またはこれに近いものを所蔵品の組み合わせで(これは可能なはず)やってくれれば、なおさらいい。

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