「ソフィー・マルソーの過去から来た女」 (La Disparue de Deauville 、2007年、仏、104分)
監督:ソフィー・マルソー、脚本:ソフィーマルソー他
ソフィー・マルソー、クリストフ・ランベール、ニコラ・ブリアンソン、シモン・アブカリアン、マリー=クリスティーヌ・バロー、ロベール・オッセン
タッチはフィルム・ノワール風、テーマはもう少し個人的、家族内のもので、全体としてソフィー・マルソー好みのものである。
昨年、映画祭で公開されたものの劇場未公開のようで、もしやったとしてもせいぜい単館上映くらいだろう。
むしろDVDで2回くらい見たほうが面白い。
ホテルで成功した男と女優、女優の死、男の息子、後妻、そして女優の記憶で飾られたなぞの部屋、女優に良く似た女、男の失踪を契機に事件に巻き込まれる過去にトラウマを持った警部(主人公)、という構成で、最初は話を確認していくのに骨が折れるし、画面が一般に暗いから、本当はフランスの田舎町の映像を楽しみたいのだが、TVの画面では多少つらい。
もっとも、最後のほうで話の詳細は明かされる。それでも2回見ると、2回目は個々の映像の意味はそれなりにあるようだ。
ソフィー・マルソーは映画つくりには熱心なようで、ついに今回は脚本、監督に手を染めた。その結果登場場面が減ったかどうかは定かでないが、もう少し見たいところではある。このところ大作にあまり出てないが、フランス女優として存在感もあり、その男をひきつける容貌は他にないものがある。今後に期待。
警部役のクルストフ・ランベールの演技は納得させるものがあるけれど、容貌がもう少し映える人のほうがよかったかもしれない。
失踪したホテル・オーナーはロベール・オッセン、若いころの顔をそんなによく覚えてはいないが、こんな柔和な顔ではなかったのではないか。
原題は、ドーヴィルからの失踪。金持ちのリゾートであるドーヴィルと産業と海運のル・アーブルとが橋でつながっていて、この設定は意図したものであると、監督はインタビューで語っている。