女優マルキーズ (Marquise 、1997年、フランス・イタリア・スイス・スペイン、120分)
監督:ヴェラ・ベルモン
ソフィー・マルソー(マルキーズ)、ベルナール・ジロドー(モリエール)、ランベール・ウィルソン(ラシーヌ)、パトリック・ティムシット(マルキーズの夫グロ・ルネ)、ティエリー・レルミット(ルイ14世)、レモ・ジローネ(作曲家リュリ)
実在したというマルキーズが地方を回っていたモリエール一座のルネ・グロに拾われ一緒になり、当初の色気と踊りだけだったころから次第に女優として成功していく半生を、ルイ14世の周りの登場人物、風俗とともに描いていく。作曲家のリュリも出てくる。
実際にあったことに忠実なのか、ドラマとしてはもう少し単純化、強調してもよかったと思わせるところもある。また、あまりワールドワイドを意識していないのか、スカトロジックな場面が結構ためらいなく出てくる。
とはいえ、これはソフィー・マルソーのファンだから見たわけで、彼女のそれも30歳のころの魅力がたっぷり味わえる。考えに考えて演技に入ったというところが全く見えないのが、またいい。
そしてここには、喜劇作者モリエールと悲劇作者ラシーヌの対抗があるわけだが、映画の作り手としてはもうすこしモリエールに肩入れしたかったのでは想像するものの、そこは事実が伝えられていて飛躍できなかったのだろう。映画の結末と後味はそれを引きずっているが、やむを得ないか。