ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」
指揮:ジェイムズ・レヴァイン、演出:ロベール・ルパージュ
マルチェロ・ジョルダーニ(ファウスト)、スーザン・グラハム(マルグリット)、ジョン・レリエ(メフィストフェレス)
2008年11月22日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2012年9月WOWOW
登場人物が少ないことと、人物に関するドラマ性が単純だからか、コンサート形式で上演されることも多いらしい。いくつかの部分は極めて有名でしばしば名曲コンサートで取り上げられる。
全曲盤(LP2枚組、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団)が手元にあり、一度は聴いたはずだが、あまり記憶はない。廉価盤のかわりに歌詞対訳なしというものである。
さて、こうしていま売れっ子のルパージュにかかると、これがスペクタクルというかレビューというか、とにかく見ものとしては面白いものになる。これはこれで一つのいきかただろう。
舞台中央から後方に、三階建くらいのビルの大きな骨組み、前方と後方の壁は透明にもなりまた映像投影の対象ともなり、また赤外線による人体感応機能や、声の変化によって色などが変わるというしかけを用いたりしている。
なにしろメフィストフェレスが支配する世界がほとんどだから、こうでもした方がむしろリアルともいえる。
音楽、特にオ―ケストラはいたるところベルリオーズ節だから、レヴァインの棒もあって、聴かせどころはいくつかある。
ただ、この内容で二時間はちょっと飽きる。
さて最後に、マルグリットは74段の階段(梯子)を上って天に召されていく。舞台の上では74もないようだが、プリマも高所恐怖症ではつとまらない。たいへんである。