ラヴェル:歌劇「スペインの時」
大野和士指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、演出:ロラン・ペリー
ラミロ(ラバ引き):エリオット・マドーレ
トルケマダ(時計屋):フランソア・ピオリーノ
コンセプシオン(トルケマダの妻):ステファニー・ドストラック
ゴンサルヴェ(若者):アレック・シュレイダー
ドン・イニーゴ・ゴメス(銀行家):ポール・ガイ
2012年8月19日 グラインドボーン音楽祭歌劇場
この一幕一時間弱のオペラ、題名は知っているが見るのは初めてである。これは映像で見るほうが理解しやすい。
スペインの時計屋、主人は客(ラバ引き)を一人残して外出、そのあと妻とわけありらしい二人が来て、先の客も含めた三人が顔をあわせないように妻がたちまわるという、よくあるちょっと好色などたばたが繰りひろげられる。
そのなかで、いくつもの時計がうまく使われ、登場人物それぞれにとっての「時」を観客がなにかしら感じるように全体ができている。といってもその時間感覚というのは、そうたいそうな深刻なものではない。
そして音楽はというと、これは特に名旋律があるわけではなく、むしろ天才ラヴェルが舞台効果に専心したものというべきだろうか。
そして、途中から案外この人が重要人物?と予想したラバ引きのエリオット・マードレが存在感も表情もなかなかだった。
大野の指揮はアクセントがきいたもの、ペリーの演出はコンパクトな舞台を使って無駄のない動きとなっていた。