母がまだ若い時です。美を追求するあまり美顔器を買ったのです。
今から考えると実に素朴な美顔器でした。
洗面器のようなものに水を張り、電気でブクブクと泡だてた水に顔をつけるだけ。
信じられないことが起こりました。母が溺れていたのです。
苦しいなら顔を出せばいいのに…。顔をつけたままバタバタしていました。前世で水難に遭ったのではないのでしょうか。
海に行って、スネのところまで入るまでは挑戦するのですが、青ざめていました。
オマケにそそっかしい母でした。
サボテンの上に座ったり、いきなり熱湯のようなシャワーを浴び頭皮が蜂窩織炎(ほうかしきえん)になったり…。割烹着に火が燃え移ったり…。
今ごろ、母もあの世で楽しく暮らしていることでしょう。