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山コンビ大好き。

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きらり

君が好き 2

2012-10-10 01:13:54 | 日記
初めてその場に訪れた時、その人を見本にダンスを踊りなさいと言われた。


だからダンスがとても上手な人なんだろうなと思った。


その時から自分にとって、その人は特別な存在だった。



日々一緒に過ごすたびに好きになっていくこの気持ち。
だけどそんな事伝えたら、その人が困るのはわかりきっているから
だから自分の中にだけにしまっておこうと思ってた。

でもこの惹かれていくこの思いは止まらない。

好きと伝えたらこの人はどんな反応を示すのだろう。
びっくりする?嫌われる?気持ち悪がられる?

きっと優しい人だから自分を傷つけない言葉を一生懸命探すだろう。
そして思い悩むだろう。
だからこの思いは出さずにいよう、そうずっと思ってた。

だけど、誰からも気に入られ好かれるその人を、
みんな確実に好きになっていく。
メンバーも決して例外ではなかった。

それは自分の気持ちとは違うものだったかもしれないけど、
自分の中にある醜い嫉妬心と独占欲が支配して、
たまらない気持ちになる。

そんな気持ちを知ってか知らずか
その人は屈託なく話しかけてくる。
その度にドキドキしたり悩んだり。

その人を見るたびにますます好きになっていく自分がいた。

そんな自分の気持ちがいつしか、どうしようもなくなってきた。
一緒にいればいるだけ好きになる。
苦しくて切なくてどうしようもない。

いつしか、その人をわざと避けてしまうようになった。

勘のいいその人は直ぐに避けられていることを察し、
自分に合わせて距離を保つようになった。
凄く悲しそうな表情をしながら。

傷つけているのはわかっていた。
だけどもう自分自身どうしようもなかった。
一緒にいればいるだけ好きになる。抑えがきかなくなる。
距離を置くしかなかった。

そんな日が何日も続きメンバーにもだんだん気づかれる。
喧嘩したのかと、何かあったのかと心配された。

そうじゃない。
自分が自分の気持ちに折り合いがつけられなくて一方的に避けているだけ。
だけどそんなことはメンバーにもどうしても言えなった。

その人はというと。
理由は分からないけど避けられていると言う事実を理解し距離を置いて
こちらの様子を伺っている感じだった。
そんな事をさせてしまう幼稚な自分が申し訳なかった。
こんな事をしていたら嫌われるだけということも分かっていた。


そんなある日の事、楽屋で二人きりになった。

いつもは離れてお互い様子を伺っているだけだったが
その人は何かを決意したように近づいてきた。
そして意を決したように
「俺、何か悪いことした?」
そう小さな声で、でもはっきりとそう言った。

この人は弱そうに見えるけど実は自分なんかより
よっぽど強い人だと改めて思った。

「……。」
本当は言いたいことや謝りたいことが山ほどあった。
それを言わせてしまったのは自分が未熟なせいだから。
智くんは何一つ悪くない。
そう思うだけで涙が出そうになる。

それはその人も同じようで
理不尽に避けられ多分人生の中でこんなことされたことが
ないだろうと思われるその人にとって、思い悩んだ日々だったのだろう。
涙が出そうなのをこらえているようにみえた。

「ごめん…。
大野くんは悪くない。」

涙を堪えながら何とかそう一言だけ言うのが精一杯だった。
そしてこのいつ誰か入って来るかわからない状況で
これ以上伝えるのは難しかった。

今日の上がり時間は同じだ。
終わってから二人きりで話したいと何とか伝えた。

納得のできない返事しかもらえず、
返事を引き伸ばされる形となり納得はできていないようだったが了承する。

それからは、収録中も上の空でどうしようかとずっとそれだけを考えていた。
言って困らせるだけのことを本当に伝えていいのかどうなのか。
相手を困らせるだけではないのかと。

でもこの状況が何も分からず戸惑っているばかりのその人を
苦しめるだけのような気もした。
















収録も終わりやっと解放される。
いつも使っている個室のある、ある場所に呼び出す。
その人は暗い顔で部屋に入ってきた。

何から話せばいいのかと頭をめぐらせる。
「あの、今までごめんなさい」
とりあえず謝らなくてはと思い謝った。

その人は涙を堪えながら
「何で…。何で、今まで……避けられてたの?」
言葉に詰まりながら何でかと問う。
当然だ。

「ごめん、大野くんは本当に悪くない…オレが…」
いざとなるとどうしてもその後の言葉が続かない。
「……うん」
その人は理不尽な扱いをされたにも関わらず言葉を待っててくれる。
その優しさに泣きそうになる。

「大野くんが……」
意を決し言おうとするがその後の言葉がやっぱりどうしても出ない。
それでもその人は静かに待ち続けてくれる。
「……うん?俺が?」
そして優しく問う。

「大野くんが……好きで…。
凄く好きで…それが辛くて…どうしようもなくて…」
何とか言った。
「……うん?」
顔を見れない。
ただ大野くんの優しい声だけが響く。

「…ごめん。…それでわざと避けてた」
そう言って涙が出てしまいそうなのを堪えながら何とか伝えた。
「……。」
暫く重い沈黙が続く。

「…え?……って事は俺、嫌われてたんじゃなかったの?」
ようやく理解したのかその人は安心したような、
そしてびっくりしたような感じでそう言った。

「嫌い?……いや…むしろ好きすぎて。
で…これ以上好きにならないようにしようと思って…」
もう思いをぶつけてしまおうと思った。

「え?何で好きだからって避けられたの?」
その人は納得ができないようでそう言った。
「…いや…だから好きって。気持ち悪いでしょう?だから…」
嫌われるのを覚悟でそう言った。

「そんな事ないよ」
思いがけずその人ははっきりと否定した。
「いや、大野くんの思ってる好きと多分違う好きだから。」
きっと誤解している。そう思った。

「好きに違う好きとかってあるの?」
不思議そうな顔をしてそう問う。
「いや…だって嬉しくないでしょ」
当たり前だ。自分からそんな言葉を聞いたって困るだけだ。

「そんな事ないよ。
ずっと嫌われたかと思ってたから。本当にどうしようかと思ってた」
その人は意味を分かっているのか分かっていないのか
そんな事を言う。

「いやそうじゃなくって、そういう意味じゃ」
その言葉を言い終わるか終わらないかの時に
頬に手を挟まれ唇にちゅっとされた。

「こういう好き?」
そう言って少し照れくさそうに笑う。
予想外の出来事にびっくりして言葉が出ない。
ただ呆然として頷いた。

「俺も翔くんのこと好きだよ。
だから…お願いだからもう避けないで。」
最後は泣きそうな声だった。
その言葉を聞いてどれだけ自分がその人を傷つけてしまったかと思った。

そしてそう言ったか言わないかのうちにその人の両手が伸びてきて
ふわっと抱きしめられた。

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