本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「 病む時は病むがよろしく候 」

2010-04-22 22:24:55 | 住職の活動日記
 今朝は4時ごろから     そして激しい   

思わず、その雨音で目が覚めてしまいました。

 お寺の屋根は銅板、その音は強烈な響きで反響します。

ここのところ世界中天候不順です。

 お天道様のおかげ、雨が降ってくれることの有り難さをしみじみと

思い知らされます。


 山頭火は

  
   山あれば 山を観る

   雨の日には 雨を聴く

   春夏秋冬

   あしたもよろし

   ゆうべもよろし


と詠んでいます。


 晴れの日は元気で働けることを楽しみ、

 雨の日には四辺の静かであることを喜ぶ。

 山頭火にとっては晴れの日も雨の日も幸せと受け止めたのでしょう。


順境は晴れの日であり、逆境は雨の日である。

されど人は順境においてのみ育つのではない。

人間ができているということは、多く逆境に育てられたのである。


 「 病むときは病むがよろしく候 」 といわれる。

病んでようやく宗教書を読み、

人生を考えることができたと語る人がある。


 人生は長さだけでなく、幅もあれば、深さもあるのである。

親に死なれて初めて真の親に会い、

子に先立たれて見えぬ精神の世界を感じる。


 「 人生の意味 」 は、と問う人がいる。

いかにも答えることの出来ないような難問のようである。

けれども、意味というのだから、

味わってみなければ、わからないものであろう。


 その味わいは、甘いのみではない。

 苦味もあれば、酸いものもある。

 その味を味わっていくところに精神は育っていくのである。

 そして、その経験が人生の有り難さを感じさせるのである。

    …   …   …


この言葉は、

祖父が遺した 「 金子大栄 」 という方の本の中で出会ったものです。

この一文も金子先生の83歳の時の言葉です。

83歳とは思えないほどの若々しさを感じます。

高校時代に読んだ  『 人・佛 』 

とても感動し、私の一つの方向を決定した本でもあります。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする