本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「おとき」

2013-05-15 18:55:20 | 住職の活動日記

 法事のときの食事を 「 おとき 」

『 お斎 』  と漢字で書きます。

 

    

 

今朝の熊日新聞、

「 おとき 」 懐かしい絆の味、

ということで、山鹿市で 「 おとき御膳 」 として、

料理店に登場したということです。

 

 『 斎 』  と言う字、 調べてみると面白い !

どの部首にあるのだろう ??

 

「 齊部 」  という部首があって、

その部首の中には4つしか文字はありません。

「 斉 」 と 「 斎 」

古い形と新しいものかと思っておりましたら、

全く違う字のようです。

 『 斉 』  の方は、

  セイ  と読み、

  そろう、ひとしい、という意味になります。

  穀物の稲穂がでそろった、というところから来ているようです。

 『 斎 』  の方は、

  サイ  と読み

  ものいむ、つつしむ  という意味になります。

  ( 示 )  が神事を意味する文字のようです。

 精進潔斎 ( しょうじんけっさい )   とか

 斎戒沐浴 ( さいかいもくよく )  という言葉もあるように、

「 お斎 」  となったら、

 心を静めて慎んでいただく食事、ということになるのでしょう。

面白いことに、

 「 書斎 」  という字も何気なく使っていますが 、 

心静かに読み書きするところ、ということでしょう。

 

◎  余談ですが、

齊部の一番最後文字は、

『 齏 』  という字です。 

見かけない字ですが、 「 なます 」  と読みます。

野菜を細かく刻んで、みそ、ごま、酢などで合えたもの

とあります。

普通は 「 なます 」 というと、

『 膾 』  と書きます。

しかし、この文字の意味は、

細く切った生の肉、ということになります。

焼肉店で出てくる 「 ユッケ 」 は漢字では

『 肉膾 』  と書きます。

ですから、和食で出てくる 「 なます 」 は

『 齏 』  と書くべきでしょうが、

難しいから 「 膾 」 と書いたのかもしれません。

 

 「 斎 」  ということから、

遊んでみました。

 

 

  

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『智』 と 『慧』

2013-05-15 07:23:16 | 住職の活動日記

 普通は 「 知恵 」 と書きます。

ところが、お経の中では 『 智慧 』 と書いてあります。

「 おばあさんの知恵袋 」  というような

知恵と区別する意味で、 あえて 『 智慧 』 と

表現したのでしょう。

 しかし、

「 玄奘三蔵 」 三蔵法師はそのことばさえ

翻訳しなくて、

『 般若 』  ( ハンニャ )  と

音写したのです。

インドの 「 プラジュニャー 」 サンスクリット、

これが、方言のパーリー語になると、

「 パンニャー 」 と発音しますから、

この言葉が 『 般若 』 となったのでしょう。

 三蔵法師も訳さなかったくらい、

「 智慧 」 ということも、幅広い意味を持つのでしょう。

 

 厳密には、

『 智 』  を  「 ジュニャーナ 」

『 慧 』  を  「 プラジュニャー 」 

というように分けて考えます。

 辞書には、

『 智は慧の中に摂せられる 』  と書いてあります。

そして、

「 慧 」 の働きとして、

 「 見 」 ( けん ) ・ 「 忍 」 ( にん ) と 「 智 」

の三つを上げています。

「 見 」 おしはかること ( 推求、 推度すいたく )

  ◎ お経の中では 「 度 」 は幅広く、

     得度の度はサンズイが取れた 「 渡 」

     ここでは、「 たく 」 と読みます。

     計度とかいて、ケタクという言葉もよく出てきます。

     考える、分別する、という意味です。

 

「 忍 」 認めてよしと許すこと ( 忍可 )

  ◎ 「 忍 」 という字も、ただ我慢して忍びなさい、

    というだけでなく、その根底にはゴンベンが付いた

    「 認識 」 の 「 認 」 が必要ということです。

    忍ということも智慧の働きというのは面白い。

 

「 智 」 はさらに進んで疑いなく明瞭に断定する。

 

というように辞書には書いてありますが、

それだけ幅広い意味を含んでいるので、

単に 「 智慧 」 と翻訳せずに、

『 般若 』  と音写したのでしょう。

 

 朝からそんなことが気になっていました。   

 

 

 

 

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