ちょうど、煩悩というところを
調べていたら、
煩悩とは百八煩悩といわれるように
さまざまなはたらきを持っています。
そこで、名前もたくさん持っているのです。
随眠(ズイミン)私たちの心身を眠らせる
惑(ワク)心が迷い惑う
染汚(ゼンマ)心が汚れる
漏(ロ)煩悩が漏れ出る
などなどありまして、
その中の一つに
「纏」(テン)という名前もあります。
心を縛りつけて善を妨げる
ということです。
別に、漢和辞典でも見てみると
「纏」は{まとう}とも読みます。
火消で使う「まとい」も漢字では
「纏」と書きます。
たまたま、消防署に用事があって
そこで見たのがこのまといです。
宇治の消防団のまといです。
もう使われなくなってお蔵入り
ということで展示してあります。
たぶんこのまといも煩悩の纏も
同じではなかろうかと、
そんなことを思っていました。
何でまといなんかふるのだろう??
目立ちたがりか?
でもなさそう、とても危険!!
たぶん火元はここと示しているのでしょう。
ここに水をまけと、
だからまといを振るのは危険だし
一番重要な役目だったのでしょう。
三室戸寺という名前が彫ってある
昔の放水銃、
バケツリレーの時代、
これは画期的な道具に違いありません。
それからまた、
先日見つかった奈良の桜井市の
遺構は「纏向遺跡」(まきむく)
と、同じ字を書くのです。
この「纏」という字も
いろいろな使われ方ですが
もともとは「転」からきているようで
「糸を巻きつける」
というのが本来の意味のようです。
余談ですが、
糸偏をはぶいた「廛」(テン)は
店に借用して、店舗という
意味になっています。
纏という字も
地名から、火消のまとい
そして人間の微妙な心の
煩悩の姿まで表しているのは
面白く愉しいかぎりです。