ワタシの山登りの師匠でもある友達のミドリが東京マラソンを走りました
「当選したからしばらくは山はお休み。走り込みをするからね
」
秋頃、出かけた先の渓谷でそう言われました。
東京マラソンに出なくたって、季節はもうすぐ冬だし、『山はお休み』になっちゃうであろうワタシと違って、彼女は次から次へと自分に目標を与えていく人です。
その昔高校時代、QUEENのJohnの大ファンだった彼女はイギリスまで会いに?ライブに?行ったこともあり、その行動力たるや
他の仲間たちとは少し違う(当時は異質な)存在でした。
20代前半には2人で福岡旅行をしたこともあります。
お友達のメイちゃん一家が福岡赴任になり、そこを拠点に観光をしようというプランでした。
「2日目、どこに行きたい?」
2人でプランを練っていた時、有田焼に行きたいワタシと、吉野ケ里遺跡に行きたいミドリとで希望が分かれたことがありました。
「う~・・・遺跡かぁ
ワタシは有田に行きたいけどなぁ・・・」
心の中でそう思っていたワタシに、ミドリはスパッと
「この日は別行動にしよう!」
エ・・・
別行動?
「ワタシ1人で佐賀まで行くの?電車乗って1人で行くの?」
「だって、限られた日数の中で、お互いに興味のないものに付き合うのはもったいないよ。自分の見たいものを見てこなきゃ」
「エ~
エ~
エ~
」
初めての九州で、1人でゴトゴトと電車で有田に行くなんて
・・・とビビっていたのはこの一瞬だけ。
ミドリに背中を押され、いざ出かけた有田の楽しかったこと
帰宅時間を大幅に遅れ、当時はまだ携帯電話もなくて
「遅くなるならなるで電話をしてきなさい!」と家主のメイちゃんに怒られるほど一人旅(と言ってもほんの日帰りなんだけど)が楽しかったのです。
ワタシに自立という小さな種を植えてくれたのは、確実にこの時のミドリの考え方でした。
当時は異質でもあった彼女の行動力は、社会人になった私たちにはもう理解できるものです。
マネはできないけど「ミドリならやり兼ねない
」という共通認識を仲間たちは持つようになりました。
しかし
この歳にして東京マラソンに挑戦するというのは
どゆこと~
私たちの理解のはるか先を行くミドリのチャレンジ精神。
本当に驚かされます。
そして、東京マラソン当日。
私たちは沿道から応援することにしました。
モアイ君はミドリの前に先頭集団を見たいと言い、ひと足先に都内へ出かけていきました。
一眼レフを持って
ワタシはあいにく仕事があり、午後からの参戦になります。
先頭を行く招待選手はあっという間にゴールしてしまう時間でも、ミドリならまだ走ってくれている。
どうかワタシが都内に着く時間まで、リタイヤしないで走っていておくれ!
頼むよー!
ワタシが仕事に入る直前、ミドリは飯田橋にいました。
そしてサクッと一仕事終えて、都内への電車に飛び乗った頃には
清澄通り界隈を走っていました。
ワタシが仕事をしている間中、走っていることだけでも驚きなのに、
すごく正確なラップを刻み、着実に歩を進めていることがどんなにつらいことなのか、おそらくワタシには想像できません。
「18kmと22km地点でミドリに会えたよ~
」
仲間からのLINEです。
《当日の私はこんな格好だよ》と事前に送ってくれたブルーのTシャツも花柄の帽子も、雨がっぱに代わり、なんとかわいそうなコンディションだこと
「了解!ワタシは先回りして日本橋に向かうね!」
そうしてワタシもみんなとモアイ君と合流してそこからは一緒に応援です。
ハルミンがうちわを作ってくれました。
次に向かうは芝公園
ところが、思ったよりランナーの足は速くって、この駅で降りたほうがいいのか、もう一つ先まで行ってから張ったほうがいいのか、すごく悩むところがありました。
地下道を走り、地上への階段を駆け上がり、息も絶え絶えで先回りをします
このダッシュだけで咳き込むワタシ、絶対にマラソンは無理って痛感しました
(というか運動会自体がもう無理ですな)
すごいすごい
挑戦する人たち。
そして誰ともなく応援に精を出す人たち。
楽しい人たち~
世の中にはこんなに走りたい人がいるのね
落選した人も入れたら、どれだけの潜在ランナーがいるのだろう?
そしてなぜワタシはこの中の一員ではないのだろう?
自分のふがいなさや運動不足・・・考えないようにして
「ミドリー!頑張れー!」
「反対車線でも待ってるからね!絶対に戻って来てよ!」
自分のふがいなさは考えないようにして(笑)声援を送りました。
高輪で最後の折り返しをしたミドリの足跡もナビでちゃんとわかりました。
すごいすごい
あと3kmでゴールだよ!
ミドリいわく、最後の2kmがとーーーってもつらかったそうです。
足が前に進まず、ラップも最後は少し遅くなっていました。
でも未体験の距離をなんと完走したのです
私たちの知らない世界を体験した彼女。
ゴールの先にはどんな景色が待っているのだろう?
『いくつになっても何かを始めるのに遅すぎるなんてことはないんだ』
その言葉を聞くたびに
「そうよね!」と感化されるワタシだけれど、
いやいや、マラソンだ~け~は~
もう遅すぎますって
てか、30年前でもきっと無理だったんだろうなぁって思う。
ランナー向けに設えられたエアサロンパスのブース。
さっきのダッシュで疲れたワタシにもお願いします
って感じなんだけど
お祭りでもあり、チャレンジでもあったこの一日。
そこに挑んでいった人たちの勇気を目の当たりにして、マラソンは無理でも何かワタシにできることをあきらめることなく始めよう!継続しよう!
と素直に思え、ここに決意表明です
すごく素敵なイベントをありがとうございました。
ランナーの皆さん、沿道の皆さん、雨の中お疲れさまでした