夕刻5時を過ぎても外はまだ明るい。散歩するには今日は肌寒い陽気だが、思い切って外に出た。ホワイト・デーのお買い物といったら見栄の張りすぎか。
少し歩くと、この町を流れる川に出る。河川としてのグレードは高いものの、クリークのようなものだ。もはや昔から抱いていた川の面影はない。春になれば桜並木が爛漫と咲き誇った。ここで妹のオムツを母が洗っていた記憶がかすかに蘇る。水は清み、いたるところに敷き石が置かれ小蟹と戯れた。ぼくたちの生活を支え、慰めてくれた川だった。
今はコンクリートで固められ、無骨な化粧が施されている。クリークと呼ぶ所以だ。たまに大きく成長した鯉が私たちを憩わせる。
川幅は狭くとも、さすがに冷たい風にさらされる。この町を貫き、南北に分ける川。季節が巡り、時代は変わっていく。忘れていた感覚や記憶を取りもどしつつ
帰りはマンドリンのバックビートを意識しながら歩いた。案の定、縺(もつ)れてしまった。決して手に抱えていた荷物のせいではないと思う。天性のリズム感の悪さだろう。
少し歩くと、この町を流れる川に出る。河川としてのグレードは高いものの、クリークのようなものだ。もはや昔から抱いていた川の面影はない。春になれば桜並木が爛漫と咲き誇った。ここで妹のオムツを母が洗っていた記憶がかすかに蘇る。水は清み、いたるところに敷き石が置かれ小蟹と戯れた。ぼくたちの生活を支え、慰めてくれた川だった。
今はコンクリートで固められ、無骨な化粧が施されている。クリークと呼ぶ所以だ。たまに大きく成長した鯉が私たちを憩わせる。
川幅は狭くとも、さすがに冷たい風にさらされる。この町を貫き、南北に分ける川。季節が巡り、時代は変わっていく。忘れていた感覚や記憶を取りもどしつつ
帰りはマンドリンのバックビートを意識しながら歩いた。案の定、縺(もつ)れてしまった。決して手に抱えていた荷物のせいではないと思う。天性のリズム感の悪さだろう。