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パソコン教室アイラブハイパークラブです。
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コールドマウンテン

2005-09-11 22:33:04 | 音楽
 今ごろになってまた、と言われそうだが、ニコール・キッドマン、ジュード・ロウ主演のコールドマウンテンを観た。

 最近、ビデオ(正確にはDVDか)を観る機会が多くなっている。息子がレンタル・ショップに行く際に必ず声をかけてくれるおかげである。寝床周りに分不相応なAV(音響の方、ね)装置を設置したことが大きい。風の音、水の音、小音量でもその気配がありありと分かる。加えて重低音、振動によってドアの閉まる音でさえ重くリアルに聞こえるのである。リモコンもありがたい。観たいときすぐ観ることができ、眠くなったら即座に止められる。

 さて、このコールドマウンテンであるが、作品詳細やストーリーの方はコチラをご覧いただきたいのだが、兵士が戦線を離脱して恋人のもとに帰るお話である。と、書けば身も蓋もない。が、映画である以上その艱難辛苦はいかばかりか、と、挿入されるエピソードが実に興味深く、したがって脇で登場する人物にふくらみがあり、目が離せない。役者の顔ぶれ、曲者ぞろいだし、巧い。ぜひお薦めする。とっくに観たよと仰る方ばかりだろうが…。

 でも、待って欲しい。あなたは音楽にも耳をすませてもらっただろうか? アメリカのプリミティブな時代を象徴するかの如きマウンテン・ミュージックがありーの、ブルースがありーの、ケルト風の音楽がありーのと、ぼくのようなブルーグラス・ミュージックファンならずとも聞きほれる楽曲が山盛りだ。とくにホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト(ジョージア役で出演)の「ウェイフェアリング・ストレンジャー」やアリソン・クラウスが歌うエルヴィス・コステロのお「ザ・スカーレット・タイド」などは映画のシーンに埋没することなく、されどでしゃばらず、しっかり映像を支えている。

 映画館には行けなかったが、公開前から注目してしていたのは、サウンドトラックをT-ボーン・バーネットがプロデュースすると聞いていたからだ。彼はコーエン兄弟の映画『オー・ブラザー!(ぼくをフラット・マンドリンにに目覚めさせてくれた)』にも音楽プロディーサーとして参加し、全米にルーツミュージックのブームを巻き起こしたことは記憶に新しい。

 二つの映画の共通点は音楽にとどまらない。ともにホメロスの「オデュッセイア」を下書きにしている点である。ギリシャ神話における叙事詩を、『オー・ブラザー!』ではコメディに、この映画ではラブストーリーに、という仕立ての妙は、まさにアメリカ映画の深さである。さらに、両者のメインストリームとしてアメリカ人の信仰に対する思いが窺える。ここらあたりは、最近、ゴスペルやセイクレッド・ソングに接する機会の多いぼくだけの感想だろうか。ネタバレを控え、あえて音楽を取り上げたが、未見の方はぜひご覧いただきたい。