そのmomoちゃん、お友だちの結婚式において音楽プロデューサーを仰せつかったとのこと。職業柄多くの結婚式に接してきたキャリアを買われてのことだ。最近では、カセットなんて流行らない。進行に合わせてCDに収録しておけば、操作の苦労は考えずに済む。ところが、彼女、自分のパソコンでCDに焼くのは初めてだという。そこでレッスンが始まった次第。
さて、選曲である。カントリー狂のぼくと知りつつ依頼をなさるとは、進取の気性に富む女性であることよ。ぼくのとは言わない、もしぼくの家族の宴であれば、真っ先に取り上げるのが、アン・マレーのアルバム、The Best...So Far から"Nobody Loves Me Like You Do"である。男女のデュエットで、厳かなイントロから絶唱に近い盛り上がりまでBGMに止めるにには惜しい曲である。歌詞もいい。
「あなたが愛してくれるようには誰も私を愛せない」
つまり、
「あなたの愛し方が一番」
という意味である。
ここで気づいたことがある。ぼくにとってベストと思われる曲の多くが、実は結婚式に向かないのである。カントリー・ミュージックの名曲として知られるものには失恋の歌が多く、そのほとんどが裏切り、片思い、悲恋、死別と、結ばれるのことのない恋に事欠かない。晴れの席にはうっかり披露できなくて、まったく油断ができない。それだけに紹介の一曲は唯一とは言わないまでも、貴重なものなのだ。
チャペルで式を挙げられるそうなので、HYMN(神をたたえる歌; (教会の)賛美歌、 聖歌)として、Alison Krauss and The Cox Familyのアルバム、I Know Who Holds Tomorrowから表題曲、I Know Who Holds Tomorrowはいかがだろう。静かで、美しいメロディラインのアンプラグドだから、深く沁み入り、心が洗われるよい曲である。オケージョンによっては印象的で、効果ありと踏んでいる。 momoちゃんのさりげない演出がきっと清廉で荘厳な雰囲気を醸すに違いない。
で、これらをCDに焼くには…、
- CDの吸出し
- 焼き込み
という手順を踏む。CDの吸出しはリッピングといってCDの音質でパソコンのファイル(WAV形式)として取り込む。サイズは大きくなるが焼きこんだら削除すればよい。ソフトはパソコンに付属の「BEAT JAM」を使用する。曲を指定し、録音ボタンをクリックすればあっという間に取り込める。指定の焼き込みには「Record Now」を使う。これもソフト任せで思いのほか短時間に処理できる。しばらく待つだけで、CDプレーヤのある場所なら、車の中だって、式場だって聴けるマイ・ベスト・アルバムを作ることができる。ただ「BEAT JAM」で取り込んだファイルの保存場所を探すのに手こずったのと、「Record Now」でのファイルの指定方法に戸惑った。これは慣れの問題なのだろう。
こんなことができるのか、という新鮮な驚きが、その都度、パソコンにはある。今度は、ひと様のためでなく、自分自身のためのウエディング・アルバムを作成して欲しいと願ってやまない。