どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

おことば

2012-03-14 03:07:09 | インポート
311の追悼式典で天皇陛下のおことばを、テレビがカットして放映したのが話題になっているようだ。その言葉が原発事故に対するものだったので、原子力ムラに配慮したのではないのかと言われている。NHKまでカットしている。
私はこの日、仕事だった。なので当然聞く事はなかったのだが、この時間だけ逃げ出して一人になっていた。もうギリギリだったのだ。なのでこれが問題になっているのは、昨日知ったばかりだ。
全文を読む限りカットする意味は無いと思うのだが、これはどうした事なのだろうか。
一番考えられるのは、メディアの差だろう。新聞ではおことば全文を掲載する事で、読者に客観的な判断を仰げれると考えたのだろう。テレビは、陛下が政治的に踏み込んだ発言をなされたと判断したのだろう。
もしかすると、この発言に対して陛下の真意を探る(ウラを取るとも言う)ために宮内庁に問い合わせた結果かもしれない。陛下のおことばはテキストなら問題は無いが、音声なら政治に影響すると判断したのかもしれない。前近代的だが、陛下のおことばにはそういった力が今でもある。
確かに現憲法下では象徴だ。なのでその発言は日本全体の意を汲んだものになる。そうゆう風に出来ている。
しかし象徴とされても、天皇の権威は根本的には変わらない。戦前より低いにしても認めざるを得ない。しかも天皇家が、日本の神を統べる天照大神の皇統であり、たとえそれが伝説だったとしても、国土の安寧を計る最古の司祭であるということだ。
まずは全文を転載しよう。





東日本大震災一周年追悼式 平成24年3月11日 国立劇場

東日本大震災から1周年、ここに一同と共に、震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します。

 1年前の今日、思いも掛けない巨大地震と津波に襲われ、ほぼ2万に及ぶ死者、行方不明者が生じました。その中には消防団員を始め、危険を顧みず、人々の救助や防災活動に従事して命を落とした多くの人々が含まれていることを忘れることができません。さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。

 この度の大震災に当たっては、国や地方公共団体の関係者や、多くのボランティアが被災地へ足を踏み入れ、被災者のために様々な支援活動を行ってきました。このような活動は厳しい避難生活の中で、避難者の心を和ませ、未来へ向かう気持ちを引き立ててきたことと思います。この機会に、被災者や被災地のために働いてきた人々、また、原発事故に対応するべく働いてきた人々の尽力を、深くねぎらいたく思います。

 また、諸外国の救助隊を始め、多くの人々が被災者のため様々に心を尽くしてくれました。外国元首からのお見舞いの中にも、日本の被災者が厳しい状況の中で互いに絆を大切にして復興に向かって歩んでいく姿に印象付けられたと記されているものがあります。世界各地の人々から大震災に当たって示された厚情に深く感謝しています。

 被災地の今後の復興の道のりには多くの困難があることと予想されます。国民皆が被災者に心を寄せ、被災地の状況が改善されていくようたゆみなく努力を続けていくよう期待しています。そしてこの大震災の記憶を忘れることなく、子孫に伝え、防災に対する心掛けを育み、安全な国土を目指して進んでいくことが大切と思います。

 今後、人々が安心して生活できる国土が築かれていくことを一同と共に願い、御霊への追悼の言葉といたします。




私は、戦没者追悼の式典とかでのおことばはおぼろげにしか記憶に無いが、震災で亡くなられた方々への祭壇に向かって、ほとんどが生者へのメッセージになっているのに驚いた。もちろん私が無知であるだけで、そういったものなのかもしれない。それにしても、初めと最後しか追悼になっていない。全体は御霊への報告にもなっていない。
そして、この式典に出るために心臓手術を受けたと言われているのも重く感じさせる。
この削除された部分の受け止め方は様々なものになっている。脱原発宣言と受け止める人が多いように思える。もちろんそうではないとも言える。
ただここで陛下が、昨年の3月17日に発表したビデオレターと比べると面白い。
http://www.youtube.com/watch?v=mOERcHmrCkA
実は構成としては、同じものになっている。


しかし、今回放送でカットしたことでおことばが別な方向に一人歩きしてゆくように思われる。それがどうなのかは解らない。良い事もあれば悪い事もありそうだ。
もしかすると経産省前の脱原発テント村に対する右翼のイヤガラセが無くなるかもしれない。もしかすると右翼・民族派と脱原発運動が結びつくかもしれない。三島由起夫の願いが部分的に実現するかもしれない。
政府が脱原発に向けてタイムテーブル(多分今後50年かけてとかいうバカげたものが出ると思うが)を作成し法律化するとかもあるかもしれない。東電を攻撃する右翼が増えるかもしれない。
さて問題は、この発言でガレキの焼却処分に暗雲が立ちこめたという事だ。陛下も認める除去問題があるガレキを受け入れる事は出来ない!そう受け止める人もいるだろう。逆に受け入れ自治体が、なぜか増える可能性もある。
多分、受け入れ拒否が広がるだろう。同一のタイミングで野田首相が、ガレキ受け入れを自治体に文章でお願いしたからだ。
このおことばがどうなるのか、私には解らない。でもガレキの山を焼却する設備を被災地に作った方が早いのは確かだ。その方向になってもらいたい。




PS
韓国のプサンで、2月9日原発の全電源喪失が12分間あったようだ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120313/k10013686461000.html
補修のため停止中だったとはいえ、非常用発電機が動かなかった事は大きい。どんなに設計上多重保護になっていても、そのネットが機能しなければ意味が無い。更に韓国は国策で電力料金が安く押さえられている。電力会社は日本と同じ独占のようだが、かなりカツカツの経営とも言われている。
アメリカのスリーマイル事故が、逆に隠蔽の少ないまれに見る事故だったという事になりそうだ。



ダイヤモンドオンラインで、自民党の河野太郎議員が吠えている。本当に彼は自民党なのだろうか。
http://diamond.jp/articles/-/16547
自民党が現在の原子力政策を作ったのは確かだ。反省は当然だ。