どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

勝ち組・負け組

2013-04-27 03:09:40 | インポート
終戦直後にブラジルの日系移民の中で、日本は戦争に負けたと信じるものと、勝ったと信じるものに分かれたと言う話しがある。深刻な対立を生んで、後々影響したと言われている。
確かに情報の遅い時代だったが、それにしても不思議である。確かに日本の短波放送を聞いており、大本営発表のニュースばかり聞いていたがそれが敗戦で途絶して情報不足になったからなのだが、愛国心のなせる技なのだろうか。

そういえば清沢洌の評伝の中で、彼が移民として暮らしている時、日本から柔道家がやって来た。そこでアメリカ人と対戦となるのだが、当然日系社会はわく。しかし結果は柔道家の惨敗だった。その時観戦していた日系人らは、「あれは本当の柔道家ではない」といっていたそうだ。

人は見たいものしか見ないものだ。見たくない現実が現れた時には、頑なに現実を拒否したりする。


そういった意味では、見たくない現実が赤裸々に現れてしまった場合、勝ち組・負け組なんて存在しないようになるのだが、これまたそういった事はない。日本と韓国と中国だ。

中国は勝った、しかし現実は最悪だった。中共合作も日本に勝った事で新たなステージに上がって、内戦になった。そこから中国共産党の勝利で収まった。ところが現実は荒廃した国土だった。

中華民国の作戦とはいえどんどん内陸部に移動する蒋介石を、バカ正直な日本軍がどこまでもどこまでも追っかける。あんまりの状況に汪兆銘が蒋介石と袂をわかって、南京国民政府を作って日本と交渉するが、これは日本がイケイケだったので失敗。正直な所、日中戦争はカオスすぎて解りにくい所がある。
汪兆銘は日中戦争下での最大の被害者だと思う。もし私が右翼思想に凝り固まっていたとしても、彼にだけは謝るだろう。日本は彼を裏切り、そして彼からすべてを奪った。これは間違いがない。

話しは戻って、それでも中国は「優れた共産主義」の国家であり「時代遅れの資本主義」より豊かになれると信じていた。だから毛沢東の時代は「圧倒的」に勝っていた。しかし毛沢東の夢から覚めてみれば、貧しさだけが残った。
かつて負けた相手が豊かになり、勝った自国が貧しくなっていた。これは許される事ではない。ここからはじまるモロモロが現在の問題に繋がる。

なお朝鮮半島でも北朝鮮が日本を批判する時、貧しくなったのは日本のせいだと言わないのは、まだ「優れた共産主義」の国家であり「時代遅れの資本主義」より優位であり、優れた指導者がいると言うのが前提だからだ。現実に70年代までは「豊たか」だったらしい。実際ミサイルや核爆弾の研究でも解る通り、知識の蓄積がないとこういったものは作れない。確かに現在では広く知れ渡った知識だが、それを使いこなすだけの人材が必要だということだ。


問題は韓国だ。彼らは日本人だった。確かに独立運動はあった。だが経済は日本が牛耳っていた。だから終戦の日には、朝鮮半島の人が泣いたと言われている。しかし翌日には独立とさけんでいたようだ。
そんなに簡単に変われるものなのだろうか。私はかなり疑っているが、そうとでもしなければ漢奸というかそういったもの、朝鮮族の裏切り者として社会から捨てられてしまう、そういった恐怖があったのではないのかと思う。

韓国は日本だった事で、かなり複雑な陰影を持っている。朝鮮動乱時の韓国軍は、旧日本軍の軍人だったと言われている。戦前の朝鮮総督府の官僚の8割が朝鮮族であったと、何か日本の国会議員が言い出して話題になったが、まあ言わない方が良い話題ではあった。
国家を運営するためには、すべてを使う必要があった。おまけに建国=戦争の社会だったから曖昧にした所があるのではないのか。
曖昧と言うのが一番過激になる。原理主義化しやすい。独立運動の流れと李承晩の思想で固定化されたと思う。あとは過激化するだけだ。それが今日なのだが、まだマトモだ。震災の時に「日本沈没」と書いた新聞があったが、「やりすぎ」という論評もあった。


おまけに韓国は朝鮮戦争で、本当に焦土になった。そして北朝鮮と戦争状態にある。勝ったはずなのだが、延々に負け続けている気分だろう。


さて日本だ。
日本には完敗組と、次がある組がいる、と言ったのは山本七平だったか。残念ながら彼の著作は一つも読んでいないのだが、誰もが引用するので何となく覚えている。完敗組が左翼になり、次組が右翼になるのだろうか。ただ次組は相当ネジくれている。経済でアメリカを圧倒すれば良いのではないのか。そしてその上で軍事協力からはじめれば良い。そうして日本が強くなれば良い。そういった考えの人たちがいる。
バブルのときは、エンパイアステートビルを買うとかそういったオバカな買い物は、そういった意識があったのだろう。当時は合理的と言われていたが、当時もビンボーだった私から見たら「騙されている」と言った買い物だった。


安倍総理が「靖国例大祭」にどうのとか、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の168名が参拝したとかで、中国や韓国から顰蹙を勝ったあげくに、アメリカからもそれはどうかと言われている。
国内的には、確かに北朝鮮との直接的な緊張関係もある。中国との尖閣諸島問題や韓国との竹島問題もある。それらがここ2年に勃発して、北朝鮮が最悪になりつつある時に、どうして対立を作り出すのか、アメリカには理解出来ないだろう。

確かにこれは国内問題なのだ。この危機に際して軍神を祭る靖国に参拝し、加護を願うのかもしれない。(私はそう善意に解釈する) 国内向けには良いだろう。だが対外的な視点が全くない。


確かに日本の政治状況はある。しかもネットから新聞の論調まで、イライラしているのは確かだ。だがやってしまったことはどうしようもない。あとは参院選の結果になるが、何となくこれで更に自民党圧勝になるのかと思えば嫌な気がする。


靖国問題の解決策はない。一つあるのは、国家神道の否定だ。実はあり得る。戦前まで日本は宗教国家でないと言う事を説明して来たはずだ。これを使えば靖国は完全に否定される。戦前では、あれは宗教ではない建前はそうだった。世界に向けてはね。

宗教法人の剥奪だ。宗教でなければ良いのだ。靖国と言うのは、戦前から元々そういったものだと言っていたのだから、そういい直せば良い。

ようは建前に戻せば良いのだ。多分靖国神社の宮司もそう考えていたのだろう。だからA級戦犯の合祀なんてムチャをやったのだろう。国家機関に戻りたかっただけなのだ。
戻せば良いのだ。ただし神道ではなくなる。それだけが問題だが、それだけだ。


神道が正しいかどうかは解らない。現在の神道は明治維新以降の新しい宗教である。特に靖国は新しいものだ。だからこそ宗教と言う名から、空気にすれば良い話しだ。

あとあるとすれば、明治維新以降戦死した人をすべて合祀すると言う事だろうか。これが一番マイルドな手段なのだが、靖国はこれも拒否している。
それでいながらキリスト教徒が合祀されている問題を無視している。

ただ靖国のこのA級戦犯合祀問題の我がままさは、宗教法人剥奪が最適だと思う。残念ながらそういった法がない。作っても多分意味がないだろう。


中国は、やっぱり日本はファシズム国家だとアメリカにロビー活動しているだろう。まあそうなるだろう。


私ですか?負け組です。先の大戦で中国に負けたとはっきり解っています。ええ、アメリカにも負けました。完敗です。で、今も負けっぱなしです。え、それで生活は?負け組です。それがどうしたのですか?