どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

「ハルサイ」祭りオランダ編

2015-05-02 02:07:08 | 日記

オランダ人指揮者というカテゴリーは、このエドヴァルト・ファン・ベイヌムとベルナルト・ハイティンクしかいないのだが、ハイティンクが2枚も録音しているので、カテゴライズしてしまったわけだ。

このベイヌムだが、かのメンゲルベルクと同時期にコンセルトヘボウの首席指揮者であり、戦後音楽監督兼終身指揮者になったという人だ。なのでメンゲルベルクのスコア分析は見ていただろうし、本人も現代音楽をレパートリーに持っていたという。

オランダという土地柄なのかもしれないが、なにか尖っていながら実証主義的な何かがあるのかもしれない。変わった指揮者を排出する土地だ。それはその後アメリカにお株を奪われてしまって、目立たなくなっているだけかもしれない。

この録音で一つ見落としてはいけないのは、1946年であるということだ。終戦17ヶ月後に録音している。そこに5管編成のオーケストラを準備して多分万全な録音をしたというのが、私にとってはかなり大きい。この46~60年の録音を聞くと、録音上の理由で編成を少し小さくしている可能性がある。それがこの46年の録音では多分ないということだ。その後の音につながるものがここにはあるわけで、歴史的演奏だと思う。

アンセルメの1950年の録音よりはいいと思う。だが、やっぱり技術的な問題は残っていると思う。

 

ハイティンクの演奏は、物議を醸したものだという。でもどこが問題になったのか私にはさっぱりわからなかった。もしもこの演奏が問題なら、カラヤンの63年の演奏はなんだったのかということになる。

タイム的には問題のないレベルに収まっている。

 

春の祭典を再録音する指揮者には必ず意味がある。アンセルメ、ショルティやドラティのようにオーディオ規格が変わるたびに録音しなおすひと、つまり企業側の理由がある場合だ。特にショルティやドラティにはその音質や、ダイナミックな演奏でオーディオファンを魅了してきた、出せば売れるのだ。そして多分失敗したから悔しくて再録音する場合、多分カラヤンだろう。サー・コリン・デイヴィスがなぜ録音し直したのかはわからないが、ここに当てはまるのかもしれない。

そしてその折衷版がハイティンクなのかもしれない。最初の録音はロンドン交響楽団だが自分の録音の後に、ラインスドルフが同じオケで録音しているわけだ。発売はハイティンクの方が早かったが、それでもモヤモヤするだろう。比較されるわけだから心中穏やかでないはずだ。

それがデジタルになったからということで、ゴリ推ししたのかもしれない。演奏は第2部で真逆の傾向になっているのに注目したい。

「春の祭典」には指揮者を狂わす、魅力があるのでしょう。


「ハルサイ」祭りユダヤ編

2015-05-02 00:51:42 | 日記

 

さてユダヤというカテゴリーを作ってみた。とはいえこのデッカ版の指揮者の半分はユダヤ人だろう。モントゥーもショルティもユダヤ人だ。ということはカテゴリーとしてはとても大きなものになってしまう。そこでイスラエルとゆかりのある、バーンスタインとバレンボイムをチョイスした。そして録音年が1994年と遅すぎてカテゴリー分けできなかったアシュケナージが入った。

バーンスタインといえば、やっぱりニューヨークフィルを颯爽と振るスタイリッシュなイメージでしょうか。そしてウエストサイドストーリーの都会的センスでしょうか。かっこいいの一言ですが、この人悪い癖がありまして、旋律が東方的だったりするとネロネロとこぶしを回し始めるのです。ウクライナ系だから尚更なのかもしれません。マーラーでもよくやりますが、以前ストラヴィンスキーの教会音楽、スラヴ的であり古代教会的旋律なのですが、もうヌルヌルネロネロしておりまして作曲者の自作自演と比べるとナンジャコリャという珍版になってしまってました。

その彼がイスラエルフィルと組んでいるのですから、こらもう危険な匂いがします。物すごく遅い。言葉を変えれば重厚なのだが、ヌルヌルさせたくて遅くしているという疑いがあります。2部のイントロダクションなんてとてつもない遅さです。トータルタイム36分57秒と最も遅い録音になっています。多分これ以上遅いのはないのではないのかと思います。

 

ロシア系ユダヤ人がアルゼンチンに移住し、ブエノスアイレスで生まれ9歳でイスラエルに移住という経歴です。そのせいかバレンボイムにはユダヤ的な考えがあまり馴染まないようで、ワーグナーを振っています。マイスタージンガーを振っていますので、ユダヤ人というよりはコスモポリタンでしょう。

で、フルトヴェングラーに私淑しておりまして、ワグネリアンからは「ものまね」とまで酷評される向きもあるバレンボイムですが、師匠より過激な側面があります。極端なテンポ変化があります。ルバートでしょうか。その極端な例が第一部に出ています。

記録的な変化なのですが、耳で聞くとなんか平坦な演奏に聞こえてしまうのは多分曲のせいでしょう。

 

アシュケナージはユダヤというよりロシアとしか言いようのないところがあります。どちらかといえばピアニストとして有名です。そして早くからデビューしたので、何か年齢不詳なところがある。指揮者として33歳で活動を始めたのだが、その頃はよ芸として捉えられていたりしていた。80年代からラフマニノフの交響曲を録音し始めてようやく指揮もできるんだ!となった。

誠実な人という印象がある。この録音もそういった印象がある。ラインスドルフの演奏と合わせて聞くと楽しいかもしれない。