病院勤務医と医師会との懇談会
病院勤務医と診療所医師との懇談会は、年2回開催されており、夏は医師会が、冬は地域支援病院の活動の一環として荘内病院が主催しています。
病診連携に関しては、先の在宅医療を考える会においては、救急医療をテーマに荘内病院、協立病院、医師会診療所医師との話し合いを行いました。このような会は私は知る限り経験はなく、当地区では初めての試みだったのではないかと思います。それぞれに相手を思いながらも、お互いのコミュニケーション不足で、齟齬が生じている現状を知ることができました。顔を合わせて、お互いの現状や想い、考え方を語り合う場が、貴重かつ有益だと思いました。この懇談会も、地域での顔の見える関係を築きながら、より良い地域医療を実現することが目的です。一方で、参加者が限られることが課題です。多くの会員の皆さんの参加を期待する次第です。
話題提供として、2つの講演がありました
■「疥癬アウトブレイクに対する荘内病院の取り組みと今後の課題」
荘内病院 感染管理認定看護師 若松 由紀子 氏
発端は、昨年11月15日(症状自覚から2-3週間後)に、看護師9名、患者2名の「疥癬疑い」で。その時点では、発端者不明状態でのアウトブレイク宣言だったようです。その後の調査で、すでに亡くなっていた悪性リンパ腫の患者に湿潤、角化、落屑病変があったことが判明し、この患者が感染源になっていたのではないかとのことでした。結論として、アウトブレイクは、角化型(ノルウエー)疥癬の発見、診断の遅れに起因しているとの分析で、多くの病院や施設での蔓延例と同じような経過だったようです。
結果的に、患者32名、職員15名が治療対象となり、今後は皮膚症状観察と標準予防策を強化するとのことでした。
<コメント>
疥癬に関しては、角化型疥癬を見逃さないことが重要ですが、一方で、疥癬に対する理解不足とそれに起因する過剰な反応で、社会的損失が大きいことが問題だと思っています。疥癬は死に至る病気ではりませんし、治療に抵抗性の疾患でもありません。また、接触感染であり、感染を媒介しているのは、多くの場合、医療者や介護者です。通常型の疥癬は、隔離など必要がありません。ましてや、疥癬だからといって、職員を含む医療者を休職させる必要はありません。マニュアルで行動するのではなく、より論理的な対応が望まれます。
■「庄内プロジェクトから鶴岡みらい健康調査へ:健康長寿社会のこれから」
慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室 教授 武林 亨 氏
武林先生については、秋山先生共々、当地域には、大きく貢献して頂いているわけですが、先生たちが取り組んでいるコミュニティーヘルスについて、また、鶴岡みらい健康調査について、興味深い講演を拝聴しました。
講演内容を消化しきれていません。
心にとまった内容をメモ書きで紹介します。
・人は科学的なエビデンスでは行動しない(とくに予防の場合)
・EBM(ガイドライン)よりは臨床的専門技能が重視されるべき
EBM is not "cookbook" medicine.
・健康のありかたが変わりつつある
・超高齢社会では、健康の概念そのものが変わっている
・健康の概念とともに予防のあり方も変える必要がある
→機能低下も考慮した保険、医療、介護と連続性のある予防へ
・一方向の専門家の連携から、地域・市民も含み一体化した連携へ(コミュニティヘルス)
・コミュニケーションからのアプローチ
自分のことと考える 寸劇は良い例
・他人への信頼の低い地域は寿命が短い 地域健康格差
例:カリフォルニア > ミシシッピ
・予防のあり方を考え直す第3の視点
遺伝子、メタボローム、環境
オーダメイド、テイラーメイド
・メタボローム解析で、生活習慣病への傾向が分かってきた
例えば、分岐鎖アミノ酸 バリン、ロイシン、バリン メタボに多い
飲酒によって肝機能が低下している人を予測可能
・鶴岡みらい健康調査
90%という高い同意率は、施設への信頼の高さが影響か
今後は、住民基本台帳、死亡集票、発症・受療状況調査などを調査していく
・これからは、遺伝子情報、バイオマーカーによる個別化予防医療の時代
遺伝子情報の例:https://www.23andme.com
アミノ酸解析の例:アミノインデックス
http://www.ajinomoto.co.jp/products/aminoindex.html
・受診者の特性に合わせた情報提供
・人の健康には、遺伝子より環境要因が大きいのでは
病院勤務医と診療所医師との懇談会は、年2回開催されており、夏は医師会が、冬は地域支援病院の活動の一環として荘内病院が主催しています。
病診連携に関しては、先の在宅医療を考える会においては、救急医療をテーマに荘内病院、協立病院、医師会診療所医師との話し合いを行いました。このような会は私は知る限り経験はなく、当地区では初めての試みだったのではないかと思います。それぞれに相手を思いながらも、お互いのコミュニケーション不足で、齟齬が生じている現状を知ることができました。顔を合わせて、お互いの現状や想い、考え方を語り合う場が、貴重かつ有益だと思いました。この懇談会も、地域での顔の見える関係を築きながら、より良い地域医療を実現することが目的です。一方で、参加者が限られることが課題です。多くの会員の皆さんの参加を期待する次第です。
話題提供として、2つの講演がありました
■「疥癬アウトブレイクに対する荘内病院の取り組みと今後の課題」
荘内病院 感染管理認定看護師 若松 由紀子 氏
発端は、昨年11月15日(症状自覚から2-3週間後)に、看護師9名、患者2名の「疥癬疑い」で。その時点では、発端者不明状態でのアウトブレイク宣言だったようです。その後の調査で、すでに亡くなっていた悪性リンパ腫の患者に湿潤、角化、落屑病変があったことが判明し、この患者が感染源になっていたのではないかとのことでした。結論として、アウトブレイクは、角化型(ノルウエー)疥癬の発見、診断の遅れに起因しているとの分析で、多くの病院や施設での蔓延例と同じような経過だったようです。
結果的に、患者32名、職員15名が治療対象となり、今後は皮膚症状観察と標準予防策を強化するとのことでした。
<コメント>
疥癬に関しては、角化型疥癬を見逃さないことが重要ですが、一方で、疥癬に対する理解不足とそれに起因する過剰な反応で、社会的損失が大きいことが問題だと思っています。疥癬は死に至る病気ではりませんし、治療に抵抗性の疾患でもありません。また、接触感染であり、感染を媒介しているのは、多くの場合、医療者や介護者です。通常型の疥癬は、隔離など必要がありません。ましてや、疥癬だからといって、職員を含む医療者を休職させる必要はありません。マニュアルで行動するのではなく、より論理的な対応が望まれます。
■「庄内プロジェクトから鶴岡みらい健康調査へ:健康長寿社会のこれから」
慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室 教授 武林 亨 氏
武林先生については、秋山先生共々、当地域には、大きく貢献して頂いているわけですが、先生たちが取り組んでいるコミュニティーヘルスについて、また、鶴岡みらい健康調査について、興味深い講演を拝聴しました。
講演内容を消化しきれていません。
心にとまった内容をメモ書きで紹介します。
・人は科学的なエビデンスでは行動しない(とくに予防の場合)
・EBM(ガイドライン)よりは臨床的専門技能が重視されるべき
EBM is not "cookbook" medicine.
・健康のありかたが変わりつつある
・超高齢社会では、健康の概念そのものが変わっている
・健康の概念とともに予防のあり方も変える必要がある
→機能低下も考慮した保険、医療、介護と連続性のある予防へ
・一方向の専門家の連携から、地域・市民も含み一体化した連携へ(コミュニティヘルス)
・コミュニケーションからのアプローチ
自分のことと考える 寸劇は良い例
・他人への信頼の低い地域は寿命が短い 地域健康格差
例:カリフォルニア > ミシシッピ
・予防のあり方を考え直す第3の視点
遺伝子、メタボローム、環境
オーダメイド、テイラーメイド
・メタボローム解析で、生活習慣病への傾向が分かってきた
例えば、分岐鎖アミノ酸 バリン、ロイシン、バリン メタボに多い
飲酒によって肝機能が低下している人を予測可能
・鶴岡みらい健康調査
90%という高い同意率は、施設への信頼の高さが影響か
今後は、住民基本台帳、死亡集票、発症・受療状況調査などを調査していく
・これからは、遺伝子情報、バイオマーカーによる個別化予防医療の時代
遺伝子情報の例:https://www.23andme.com
アミノ酸解析の例:アミノインデックス
http://www.ajinomoto.co.jp/products/aminoindex.html
・受診者の特性に合わせた情報提供
・人の健康には、遺伝子より環境要因が大きいのでは