鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.367 (アルツハイマー病の診断と治療)

2014-07-25 16:20:01 | 日記
24日、日本海総合病院精神科の渋谷先生のアルツハイマー病の講演会がありましたので、拝聴してきました。認知症疾患医療センターの現状を知りたかったのが主な理由です。以下講演内容と認知症疾患医療センターについての私なりの印象、その場では質問できませんでしたが聞いてみたかったことを記しておきます。

1、日本海総合病院 認知症疾患医療センター
 精神科常勤医 3名
 精神科 10床
 認知症新患:約400名 /年
 初診外来は、1か月待ち
 1年間(?)の統計
 n=348 男性:128、女性:220
受診経路:医療機関156、家族の希望:134、ケアマネ:48
 診断:AD:133、MCI:70、血管性:34、レビー:13、
 重症度(MMSE):20-24点:31%、24-28点:28%、15-19点:24%

 診療の流れ
 1)初診時
  ・心理士、PSWによる病歴聴取、長谷川式、MMSE検査
  ・生活状況記入
  ・精神科医の問診、診察
  ・血液検査
 2)初診1-4週間後
  ・MRI,SPECT
  ・結果説明、治療方針の決定
 3)日本海総合病院精神科外来通院 あるいは かかりつけ医紹介

<印象や疑問>
 ・医療機関を介さず直接受診する患者が多い
 ・軽症例が多い
 ・1年で400例程度の新患数で、なぜ、1か月も待たなければならないのか?
 ・紹介以外の患者をどの程度かかりつけ医へ紹介しているのか
 ・施設(とくにグループホーム)、行政など地域との連携はどうなっているのか?
 ・認知症疾患医療センターは、地域全体の認知症対策のリーダ的役割を担うべきだが、地域での認知症対策にどのように関わっているのか


2、評価
 AD、どんな病気か
 症例
 ADの診断基準 ICD10 DSM-Ⅳ
 ADと確定診断するには、病理所見が必要
 MCI
 もの忘れ、記憶力の低下、 日常生活動作は正常、認知機能は正常
  MCIの12%が認知症へ
  MCIと早期のADの鑑別は困難

 認知機能の評価
  長谷川式、MMSEの評価は同じ MMSEがやや高めにでる
  ADASにおける10単語記銘テスト
 ADLの評価
 BPSDの評価
 画像
  海馬とその周辺の委縮が早期からみられる
  VSRAD :画像の統計解析
  早発(若年)性ADでは、嗅内皮質の萎縮に乏しい(診断上注意)

3、治療
 最大用量を目指す
 効果不十分、副作用の顕著なケースは、他剤に変更、併用
  MMSEで、年に3-4点づつ低下していくのが通例 
 海外では非定型抗精神病薬の死亡率 約1.6~1.7倍 との報告があるが、
 日本のデータでは相関はないとされている

配布資料


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