鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.486(鶴岡市自立支援型地域ケア会議)

2015-03-12 17:02:25 | 日記
鶴岡市で、来年度から始める予定の自立支援型地域ケア会議にオブザーバーとして参加してきました。

自立支援型地域ケア会議というのは、比較的介護度の低い人を対象に、「自立」を目標により適切で、実効性のあるケアプランを作成するための会議です。市がコーディネーターとなり、サービス提供側(ケアマネ、ヘルパー、介護用具の販売所など)からの事例報告に対し、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士などが専門家としての視点からさまざまなアドバイスを行い、より質の高いケアマネジメントを目指すという内容です。この会議の目的のひとつは介護給付の適正化にありますが、このような会議を通して、ケアマネを含むサービス提供側のスキルアップも期待されています。

この方式は和光市で始まったもので、和光方式とも呼ばれています。和光市では、要支援の人全てのケアプランをケア会議で検証し、自立支援型マネジメントを徹底することで、要介護認定率を10.2%に抑えています(全国平均17.4、鶴岡市は20%程度)。なるべく、要介護にならないようにすることは健康寿命を延ばすことに繋がりますので、自立支援型のケア会議は、介護給付の適正化という財政的な意義だけでなく、高齢者が生き生きと地域で暮らし続けるために有用な取り組みだと思います。

一方で、地域全体で要介護認定率を下げるためには、年間数例程度では問題になりません。全てとは言わないまでもかなりの事例を検討する必要があります。鶴岡市の本気度が試されているように思います。

ケアマネジメント質向上の取り組み


------------------------------
鶴岡市自立支援型地域ケア会議
平成27年㋁11日13:30~15:30
鶴岡市役所 6F大会議室
------------------------------



1、開会

2、あいさつ

26年4月高齢化率40%
要介護認定者 増加傾向
自立支援のケアプランになっているのか
専門家の意見が気づきの場になることを期待

3、自立支援型地域ケア会議について
  山形県長寿安心支援室 地域包括ケア推進主査 石井克明氏

自立支援型地域ケア会議は、県内で10市町村目となる
DVD鑑賞、説明(東内さんの講演と和光市のケア会議の様子でビデオ鑑賞)

4、地域ケア会議

アドバイザー:
 薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、

1)A事例
81歳、女性、独居、要支援2
パニック障害の既往あり、
不感感が強い、薬管理できない、筋力低下、短期間での体重減少(栄養?)、転倒が多い(筋力低下)
大腿骨骨折、歩行器で移動
ヘルパー:週2回、買い物、掃除、(ほとんど援助必要なし)、薬の確認(きちんと飲めていない)

以下、アドバイザーからの質問、コメント
・栄養 管理栄養士
 食事内容は不明、パニック症候群との関係、
・通院医療機関は5箇所(精神、整形、内科など)
 薬を飲めているのか → ほとんど飲めていない?
 精神科の薬がふらつきの影響である可能性がある
・転倒の原因を検討すべき(薬、筋力低下、うつ症状?)
・嚥下機能の低下が懸念、補助栄養も検討の余地がある
・精神科の薬が、食に影響していないのか
・食の確認が必要
・デイサービスで、食のアセスメントができないか

個人的な感想
この事例の課題は、体重減少、薬の服薬管理などと分かっていながら、サービス提供側(とくにケアマネ)が、どのくらい食べているのか、薬の服用状況などを把握できていない。したがって、アドバイザー側からは質問が多くなり、今後どのように対応すべきかの提案にまでに至らなかった。
 
2)B事例
89歳、女性、独居、要支援2
左肩骨折、腰椎圧迫骨折など転倒が多く、骨折を繰り返している
趣味:畑仕事

痛み軽減、自立へ向けて回復傾向にある
ヘルパー、週1回、掃除に入る
手すりの設置
デイサービス:週1回、入浴(見守り)、交流、特別な機能訓練は行っていない
近所の知人(独居)との関係は?:毎日会っている関係、食事のアドバイスをしている

自立できるか? → (アドバイザー)できるのではないか
敢えて、デイサービスを利用しなくとも、社交的性格もあり、公民館などで活動してはどうか?一方で、転倒を未然に防ぐ手立ては必要

個人的感想
自立できそうな人を敢えて選んだのではないかと思った事例。でも、89歳の独居高齢者をあえて自立と認定する意義があるのか?むしろ、ある程度の介護サービスを使って、公的に支援していくべきではないか。

5、全体討議

6、講評

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

No.485(山形県医師会特別講演会:日本医師会の医療政策)

2015-03-12 15:21:05 | 日記

--------------------------------------------------
山形県医師会特別講演会

「日本医師会の医療政策」
日本医師会 副会長 今村 聡 氏
日時:2015年3月7日 16:00~
場所:山形国際ホテル
--------------------------------------------------

配布資料


皆保険制度の維持には、医師会が必要
現場の医師を支えるのが地域医師会

医療提供体制、 保険制度、 患者(国民) のバランス

経済成長、医療をエンジンとするのは問題、 医療の市場化は問題

税制を基本に話す

日本の医療の特徴
 世界の医療の評価で、日本の評価はダントツに高いが、自己評価は低い
 → いい医療が提供されているのに、国民の医療への評価は低い 問題視すべき

1、医療保険制度

医療費の負担構成
 保険料(共助):49%、公費(公助):38%、患者負担(自助):12%

日本医療制度の問題点
 ・患者負担が先進諸国と比べてかなり高い
  一部負担割合が重い イギリス、カナダ、イタリア、フランスは無料、
  保険料を払いながら、なぜ自己負担? という課題
 
 ・対GDP総医療費がG7より低い
  一人当たりの医療費は、14位程度、高くはない(平均を下回る
 
・被用者保険の保険料率に大きな格差がある
 保険料率が異なる、協会けんぽ、組合健保、共済組合 揃えべきというのが日医の主張

国民医療費の財源別構成
 公費、自己負担が増加傾向、保険料は減少傾向、

国民負担率 
 日本:40%、(フランス:62%、スエーデン:58%、ドイツ:51%)

公的医療保険を支える財源
 消費税:輸出を促進するために考えられた税 輸出の補助金という考え方

2、消費税率10%引き上げ延期

医師会は、消費税引き上げ延期に反対した

消費税収の使途:高齢者3経費から社会保障4経費に

10%延期、は単なる延期ではない

プライマリーバランスをとるためにには
税を増やすか、 政策的経費(社会保障など)を減らす しかない

次期に診療報酬はかなり厳しい状況になる

3、控除対象外消費税問題

社会保険診療は非課税

消費税、付加価値税
事業所者に負担はない

医療機関には納税の義務がないが還付の権利もない

医療機関が支払う消費税:2.27%
診療報酬に上乗せされ補てんされてきたが、補てん不足が残っている

なお、初診料:12点、再診料:3点の上乗せは消費税の補てんのため

設備投資などへは、診療報酬では対応できないとう認識は共有されている

4、地域における地域医療・介護の促進に向けた取り組み

消費税率アップ分は「基金」で対応することで、患者、保険料の増には影響しない。

地域医療構想、地域支援事業、などは、基金を活用する

*地域支援事業

医療(904億)
1、医療従事者の確保・養成
2、在宅医療の推進
3、医療提供体制の改革に向けた基盤整備

介護(724億)
1、介護施設などの整備
2、介護従事者の確保

介護保険 地域支援事業(公費26億:国13億、地方13億)

5、地域医師会の役割

地域支援事業との関わりが重要
医療・介護の総合的な窓口機能として、鶴岡の「ほたる」の紹介

8つの地域支援事業
 1)地域の医療・介護の資源の把握
 2)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
 3)切れ目のない在宅医療と介護の提供訂正の構築推進
 4)医療・介護関係者の情報共有の支援
 5)在宅医療・介護連携に関する相談支援
 6)医療・介護関係者の研修
 7)地域住民への普及啓発
 8)在宅医療・介護連携に関する県警市区町村の連携

(ほたるは、以上のすべての事業に取り組んでいます!)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする