鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.487(地域包括糖尿病対策「Project8」新潟県魚沼地域の取り組み)

2015-03-16 16:57:18 | 日記

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鶴岡地区糖尿病講演会
鶴岡地区糖尿病連携パス勉強会

地域包括糖尿病対策「Project8」新潟県魚沼地域の取り組み
医療法人社団上村医院 院長 上村 伯人 先生
平成27年3月13日 19:00~
ベルナール鶴岡 3F ベルカント
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糖尿病地域連携パス推進協議会が共催する鶴岡地区糖尿病講演会で、魚沼地域で活躍されている上村先生の講演を拝聴しました。地域が一つになって取り組めば、こんな素晴らしい成果がだせるのだという意味で、私にとっては、とても感動的な内容でした。
なお、上村先生は私の出身大学の3年後輩に当たります。

☆プロジェクト8

魚沼地域では、すべての糖尿病患者のHbA1c(JDS値)8%以下に!という目標を定め「プロジェクト8」という活動を展開してます。

プロジェクト8の4本柱は以下

1、医療者プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%の患者を放っておかない」

2、連携プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%が続いたら、病院で精密検査を実施する」
 
3、患者プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%の自分や家族を放っておかない」

4、健診プロジェクト8、「地域・職域保健の取組」

地域の医師、看護師、薬剤師、保健師などが連携し、地域住民のHbA1cを8%以下を目指します。そのために特にHbA1c8%以上の方へ受診をすすめ、検査結果を医師だけでなく看護師や薬剤師も情報を共有し(地域連携パス)、健康指導を行います。こうした取り組みの結果で、糖尿病の悪化を防いでいます。

その結果2012年に、195人いたHbA1c8%以上の人が2013年には65人まで減少しました。およそ7割減少したことになります。




☆アラーム6

また、アラーム6という低血糖予防のための取り組みも行っています。

除雪作業では、男性の10%近くが低血糖を自覚しているそうです。
低血糖対策のひとつとして、低血糖の危険性が高いSU剤は、なるべく使わない啓発活動を行い、3医療機関で採用を中止し、地域でのSU剤の使用量が60%から10%程度に下がりました。

☆積極的な多剤併用

血糖をコントロールすには、積極的に多剤を併用することが勧められるとのことでした。

☆職域検診での積極的な介入


職域検診では、HbA1c8%以上の人の78%が無治療という状況を
積極的な介入で7%まで減少させました。


☆当院での糖尿病治療戦略


 1、ドロップアウトさせない(とにかく継続)
   食事、運動療法だけでは、継続は難しい
 2、血圧・脂質もしっかり下げる
 3、動脈硬化も評価
 4、低血糖をおこさない
 5、行動変容を一緒に考える(とくに運動)

 6、SU剤を第一選択にしない。インスリン非分泌型薬剤を中心に
 7、HbA1c7%以上が3か月以上続いたら治療を強化
 8、HbA1c7%未満でも食後高血糖があったら治療を検討する
 9、服薬コンプライアンスをみて処方検討


以上の治療方針で、上村医院でのHbA1c8%以上の患者は2.4%!


☆糖尿病と認知症


☆総合型スポーツクラブの立ち上げ
 NPO法人エンジョイスポートクラブ魚沼
 NPO法人スノーパーク小出


☆地域医療魚沼学校
自立と連携 学び続ける

わたしたちは、地域を守る術を「学ぶ文化」を作り、地域を支える人を育てるために、「住民こそ地域の健康を守る資源である」を合言葉に、互いに学び、支えあい、健康をも盛る人材を育成するための学校を作る決心をした。

これが、ヘルスケアセクター・行政・住民参加による新たな構想「地域医療学校である」


☆まとめ



☆懇親会
上村先生を囲んで和やかな時間を過ごしましたが、その間も、上村先生は在宅患者さんの看取りを電話で指示するなど忙しそうでした。魚沼では在宅医療の連携もしっかりできているようです。

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