鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.495 (松田先生の特別講演会(最終講義))

2015-03-26 16:20:24 | 日記
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松田先生特別講演会
日時:平成27年3月23日 18:30~19:30
場所:鶴岡地区医師会3F講堂
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松田先生が3月末で7年間在籍された庄内保健所を退官されます。先生には、庄内地区の公衆衛生、予防医学、地域医療などの分野で幅広くまた精力的に活躍頂きました。ついては、先生の業績を是非聴いておきたい、また聴いて欲しいという思いで、最終講義となる特別講演会を企画しました。以下は、講演内容の要約となります。

退官後は、いわき市の方で在宅医療を中心に活動する予定とのことです。先生の益々のご活躍を祈念し、また7年にわたる庄内地域でのさまざまなご尽力に心から敬意を表しまた感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。


○寿命の評価 
 山形県の男性の寿命は延びたが、庄内は山形市と比較して2-3歳短い。
 これは、がんと自殺が多いことによる
 また、若い人の喫煙率が高いことが肺がんの多さと関連していることも推測され
 若年者の禁煙対策は今後も課題。 

○胃の健康度診断(ABC検診)
 ハイリスクグループを内視鏡で、ではなく胃がん検診に組み込む
 ABC検診は胃がんの検診ではなく、あくまで胃がんのリスク検診との認識が重要
 したがって、従来のX線検診に替わるものではない
 ABC検診での死亡率低減効果等、有効性のエビデンスはまだ得られていない

○自殺予防に関する科学的根拠 
 かかりつけ医の教育がもっとも効果が高いと言われている。
 積極的に「自殺する気じゃないの?」と聞くことが必要
 自殺対策は地域力!さまざまな人とのつながりが重要

○がん検診受診率向上
 職域のがん検診受診率の向上を目指したモデル事業を庄内町で実施

「クイック検診」、「レディース検診」、「子どもからの家族への受診勧奨」を実施、受診率の向上がみられた。

入浴事故対策
庄内地域に入浴事故が多いことに着目し、消防署と協力し実態調査を行った。
頻度:10万あたり、 14.1-24.5件、交通事故の4倍(冬季は9倍)、
「寒いとき」に、「高齢者」が、「家庭」でという特徴がある
対策として、入浴死・入浴事故予防リーフレット、動画配信など
よいふろプロジェクト、 New Yoku Times などを実施

大腸がん検診 精検受診率向上事業
 
 平時
  精検受診勧奨(啓発活動・講話など)
  内視鏡技術研修会(メディアへ掲載)
 受診時
  検診前精検受診勧奨(リーフレット)申込者への事前添付
 結果報告時
  ハイリスク者への早期に電話で受診勧奨(医療機関への予約代行も)
 その後
  3か月:文書
  4か月:夜間電話
  連絡未着へ文書

以上の実施で、精検受診率は、地域検診では1.8%増の82.4%へ、職域は、8.3%増の65.8%と向上した

○地域連携パス関連
 1イベント1登録を提唱、
 最初の集計のお手伝い、
 論文をひとつ書いた、

 鶴岡の特徴
 ・職種間のフラットな関係
 ・医師会の積極的な関与
 ・ほたる
 ・ストローハット社
 ・Net4U
 ・病院職員、看護師、療法士部門の活躍

 期待
  論文作成もシステム化で完成を!


○やり残した部分 (論文を目指す)

・入浴実態調査と今後の情報収集のありかた
・入浴習慣の行動変容
・がん検診情報
・ピロリ
・気候変動と事故

○失敗

・胃内視鏡検診が胃がんによる死亡率減少に果たした役割
・がん検診の精度管理
・慢性肝炎地域連携パス
・荘内病院と日本海総合病院の話し合い
・ベイズ理論による胆道がんの地域集積性の証明

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