鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.497 (胃がん撲滅を目指した除菌療法)

2015-03-31 15:54:33 | 日記
---------------------------------------------------------
鶴岡地区消化器病懇話会
「胃がん撲滅を目指した除菌療法:各世代における対応と対策」
北海道大学大学院医学研究科 がん予防内科講座
  特任講師 間部 克裕 先生
日時:2015年3月26日 19:15-20:30
会場:東京第一ホテル鶴岡2階
---------------------------------------------------------

間部先生は、彼が県立中央病院在籍の頃から、医療情報ネットワーク関連でお付き合いがありました。県立中央病院離職後は、KKR札幌医療センター消化器内科を経て、2010年から北海道大学へ移り、今や日本でトップクラスのピロリ研究者です。

胃がんの95%以上はピロリ菌感染によるというデータは、古い医学教育を受けてきた私にとっては晴天の霹靂であり、驚くべき事実です。まだ、半信半疑のところもありますが、胃がんは早期発見の時代から、撲滅の時代に入ったということを先生の話を聞きながら実感しました。

今後は、若年者に数%存在するピロリ保菌者を抽出し、除菌を徹底することでピロリ菌感染者のいない社会を目指すことになるのだと思います。そのための事業はすでに北海道を中心に行われております。この事業を例えば鶴岡市の中学2年生を対象に行った場合、1次検査(尿中抗体)で88万円、陽性者が5%として、除菌に76万円、トータル164万円でできる事業との説明がありました。是非、鶴岡の学校検診に入れるべきと感じました。

間部先生の研究プロフィール





ピロリ菌感染の経過


胃がんの原因はピロリ菌感染

1、1994年
 3つの疫学研究:WHO/IARCがピロリ菌を胃がんの確実な発がん因子に決定
2、1998年
 H.pylori感染スナネズミに胃がん発生→コッホの4原則を満たした
3、2011-12年 広島大学、北海道大学、韓国から
 胃がんの95-99%以上はピロリ菌感染が原因との報告

除菌治療 → 胃がん予防効果
1、2003年
 H.pylori感染スナネズミに除菌 →胃がん予防
2、2008年
 早期胃がんEMR後が対象のRCT →除菌で胃がん予防
3、2014年
 健常者対象のRCT,メタ解析 →除菌で胃がん予防

2014年 WHO/IARCが胃がん予防に除菌治療を勧告


診療、検診におけるピロリ診療、ピロリ菌感染者、全員除菌時代へ


胃X線検診の今後


内視鏡検診の今後


ABC検診


若年者における胃癌撲滅プロジェクト


H.pylori感染を考慮した効率的な胃がん検診


渡邊先生も一緒に三次会。
間部先生は県立中央病院時代、妻とはパス活動などでの同志でした。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする