3月23日、ほたる主催の最初の市民向け公開講座「認知症を正しく知ろう ~住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために~」を開催し、300名を超える市民に参加頂きました。
第一部は、認知症を疑うべき症状を地域包括支援センター「つくし」による寸劇で学びました。名優揃いなのではびっくりでした。寸劇のあと、鶴岡市の包括支援センターのメンバー紹介がありました。
次いで、中目先生から「認知症への意識を変える」というタイトルで、認知症の典型的な症状、認知症になりやすい人、軽度認知障害の診断の仕方、認知症の予防法、認知症への対応、レビー小体型認知症とアルツハイマー病の違いなどについて、面白、可笑しく、教えてもらいました。
第二部は、公益社団法人 認知症の人と家族の会 山形県支部 富樫智宏さんと認知症患者である奥さんの千佳子さんが登壇し、認知症の発症から現在までの体験談を話して頂きました。
当初、認知症ではないので心配する必要ないと言われていたが、次には五分五分と言われ、治らないと言われた時は、大変なショックだった。
最初に医療機関を受診するのは簡単なことではない。家族の会でも、医療機関には行かないという人も多い。千佳子さん「認知症になったことが恥ずかしく、情けなく、人に知られたくなかった」
医師は、診断し、薬を出してはくれるが、家族とどう向き合っていけばよいのか、介護してくれる施設の情報など、生活につてのアドバスは全くなかった。今、支えてもらっているのは「家族の会」であり、ここ以外で情報は得られない。「家族の会」は、活動する場でもあり、そこで、趣味や好きなことができることが生きがいになっている。鶴岡にも、「家族の会」をつくって欲しい。
認知症の人と暮らすのは大変なことである。とにかく忘れるので、生活に連続性がなく、点の生活になる。置いたもの(とくにメガネ)をいつも探している状況なので、忘れることを前提に対応しなければならない。
認知症が進むと、失敗したくない、迷惑をかけたくない、という思いが行動を狭め、引きこもりになり、さらに認知症を悪化させてしまう。NHKエンタープライズの番組に夫婦で出演するで機会があった。その後は、恥ずかしがらずに情報を発信できるようになり、近所の付き合い方も変わったし、さまざまな支援を受けることも多くなった。
妻は、合唱部にも参加したりと歌が大好きだった。ほとんどのことは忘れてしまうが、最近覚えた歌詞でも忘れない。どこに入っているのか不思議でならない。
最後に、千佳子さんの指揮で、会場全員で「春が来た」を合唱しました。
認知症対策のヒントを得た、とても良い市民公開講座だったと思います。