あっという間に今年も残すところ2ヶ月を切りました。
来年の干支は午(馬)です。この数年の干支、例えば辰(龍)、巳(蛇)と昔の今戸焼の土人形の作例の乏しいものだったため、苦し紛れに創作しましたが、古いお手本の有無に関して言えば、馬の人形は今戸焼には古いものがいくつもあるので当たり年といえそうです。特に面白い型で知られている「狐馬」(馬乗り狐とも)は夏に手がけておいたので安心ですが、もっと数を抜き出しておかなければ、、と思います。1枚目の画像は「馬」単
体のものと狐を乗せたもの。
どちらも都内各所の遺跡からたくさん出土していますし、最後の今戸焼の生粋の人形師だった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)もお作りになっていたものです。色の配色については春吉翁のやり方を手本としていますが、形については春吉翁のものはもっと丸みがあります。なぜかというと、今回形のお手本としたものは戦前の人形研究家・有坂与太郎の旧蔵品だった色の採れた狐馬だからです。しかし構図としてははぼこんな感じだと思います。馬単体の場合、鞍に目玉焼きのような菊の花を添えて描くんです。
この目玉焼き風の菊模様というのは古い今戸焼の土人形でしばしば描かれていたパターンのようで、お福さんの裲襠とか子抱兎の筒なしとかにも見られます。鞍の地色は朱色っぽいのと群青のと両方確認しています。
2枚目の画像は3種類目の馬で「馬乗り小姓」といったところでしょうか。以前入手したほとんど手垢で真っ黒になった今戸人形が手元にあり、それをお手本としました。今戸焼の「馬乗り小姓」としては江戸明治の時代に大きなものがあったようで、一度他所で実物を観たことがありますが、手元にはないのでまずはお手本のあるもので作ったわけです。また。春吉翁作の「馬乗り小姓」または「馬乗り若衆」といった馬が右向きの上に裃姿のお侍が乗った小さい種類のものも知られています。実際画像のように色を塗ってみましたが、馬の胸から腰の垂れ飾り部分の色があまりにも汚れていてわからないので二通りやってみました。
①飾りを植物煮出し「きはだ」の汁で塗る。
②飾りを江戸時代の古い顔料「紫土べんがら」に見立てて塗る。
①は何度も繰り返し塗るので手間がかかりますが古いやり方として可能性があり、②は昔他所で観たことがある単体の「飾り馬」に紫土べんがらが塗られていたのを憶えていたからです。飾りの部分の配色によって馬の腰の配色も変わってくるわけで、まがい金泥でクロスした線を描くパターンが実際あったし、虎の革を掛けたように彩色しているパターンとどちらも古い今戸で確認している手法ではあるので。飾り部分の色とのコントラストを考えてそれぞれ置いてみたのですが、どうですか?ご意見いただけるとためになります。
とりあえず3種類の馬は姿ができました。実はあと2種類準備している馬があるのです。当然それらも古い今戸の実物をお手本にモデリングしているところなのですが間に合うかどうか、、、。
ご紹介した3種類ももっと型抜き素焼きをすすめているところです。
