昨年あたりから、今年の大河ドラマの主人公・渋沢栄一ゆかりの地として東京北区でプロジェクトみたいなものが動いているようで、飛鳥山に大河ドラマ館とかドラマに因んだ御土産館みたいなものがあるらしいです。
自分の場合、格調高いことはできないし、そうしたプロジェクトに参加してどうこうという器ではないのですが、いつもお世話になっている王子の「くらしの器 ヤマワ」さんの女将さんとはかねてより、お店で置いていただくレパートリーを増やしてみたいことお話していました。今戸の狐ものはまだまだたくさんあって、それらを手掛けていくことはいちばん大切だと考えていますが、同時に昔の今戸焼には、時節に合わせて作られた際物的な貯金玉や置物があったようで、軍服姿の西郷さんとか、洋装の明治天皇と昭憲皇太后のお姿とか、首相の姿の貯金玉があったらしいです。
そうした際物づくりも一度…という思いでやってみたのがこれです。
渋沢栄一翁のお姿をそのままというよりは、福の神に見立てたもの…大黒様なんかも考えてみたのですか、ご眷属はネズミなので、せっかく王子なのだからお稲荷さんと抱き合わせたいので無理やりですが、ビリケンさんを栄一翁と合体させることに。
実際始めてみて、ビリケンさんの姿は福の神とはいっても吊り目に尖った鼻、全体的に直線的な造形で時代的に、アールデコの様式が背後にあったのだろうかと思いました。しかし顔は翁の福々しいお姿をキツくしたくないのでビリケンの様式との抱き合わせでどうなるか、ということで迷りました。
ビリケンさんは足の裏を撫ぜながら願いをお伝えするとか聞きますね。大阪通天閣のビリケンさんが有名なので大阪特有か、といえば、実際流山に石製のビリケンさんが伝わってもいて、東にもあったのだろうと思います。
あんまりシュツとした出来ではありませんが、昔の際物の垢抜けなさや怪しさのようなものが出たらたのしいなと思います。先日途中のものをヤマワさんにお持ちして女将さんに観てもらいました。これから乾燥させて素焼き、彩色すると印象も変わってくると思います。