今日と明日限りでべにや民芸店さんで開催していただいている今戸人形の作品展もおしまいです。会場にいられないのが残念で皆さんにも申し訳なく思っています。
また療養中なので自由に外を歩いたりすることができないので、新しい出来事も画像とかもなく、先日会場で撮った猫抱きおかめの画像が未使用なのでアップしてみます。
はじめて取り組んだのですが、以前から気づいていたのが、おかめの本体(両手袖口まで)と猫(おかめの両手先もくっついている)とを別々の型(おかめ本体は2枚の割り型、猫は一枚型)から抜き出してバリなどを取ってから貼り付けるという造形方法です。
似た構図の人形が名古屋の野田末吉さんのお作りになった人形の中に含まれているのは有名ですね。また伏見なのかよくわかりませんがとりあえず伏見と訊いている同じ構図のものも伝世しています。人形のプロポーション的には、この伏見と言われているものと今戸版とはほぼ同じで貼り付ける猫だけは伝・伏見だと2枚型、つまり前後があります。名古屋の野田さん版だとプロポーションも違いますし、猫も2枚型で前後あります。
戦前の有坂与太郎による記述だと今戸の影響下に名古屋で人形を起こしたようになっていますが、大きさや猫のつくりからすると、伝・伏見のが一番大きく、それから今戸が抜き出されて、猫は片面に省略されるようになった、、と考えるのが自然なように思えます。名古屋は猫が2枚型である点伏見を習っているようにも見え、しかし全体的なプロポーションから、単に伏見から割り型を取ったのではなくオリジナルな造形を施したというところでしょうか。
彩色については伏見は裾模様をグレーや赤紫系統の大きな花柄で描き、名古屋だとおかめの着物の柄自体いくとおりもバリエーションがあるように思っています。
今戸の場合大きな彩色のバリエーションの変化を未だ確認していませんが髪に手柄のような桃色系統の色を置いたり置かなかったり、、。湯文字から覗く両前足を白く塗り遺す場合と靴でも履いているように墨で黒く塗るケースも確認しています。名古屋のようにたくさんの色で変化を持たせるという工夫があったのか、なかったのか、、。今戸の猫抱きおかめをお持ちの方で、「うちのはここが色違いだよ」という方いらっしゃたらお教えいただきたく存じます。
ちなみに猫の代わりに大きな松茸を抱かせるパターンというのも今戸には存在していて、それこそ花柳界をはじめとした「客寄せ」の縁起物という性格が色濃く出ます。こうしたバリエーションも近くやってみたいと思います。
療養先から失礼しました。
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