8月のお盆もゆうべまで、お盆休みで出かけた人もまたお勤めで忙しくなっていることと思います。勤めを辞めて8年か9年?になりましょうか。毎日が日曜日のようでもあり、反対に人形のお納めのことを考えるとのんびりともできず、日曜日がないとも言えます。
7月から今月にかけて先の青砥での骨董市とお店への2件のお納めが済んで、来月2つ催事があるのでその準備になりますが、その前に浅草の被官稲荷さまへの鉄砲狐を焼貯めておいたものを急いで塗ってお納めしなければなりません。
やすりがけの様子は以前にもこのブログでとりあげたことがありますが、土を掘ってくるのから完成した人形までの工程の中では自分としては苦手な工程ではあります。素焼き前にしてもできないことはないのですが、なぜかいつも素焼き後にやっています。人形の表面に余計な凸凹があれば、棒やすりと紙やすりで擦ってできるだけならします。特に顔の辺りにイボのようなのがあるといい感じではないのです。紙やすりをかけるときは、自分は右ききなので、左手で人形を押さえながら右手の親指で裏から押すように力を入れます。擦ったあとには埃が残ってこのままだと地塗りの胡粉ののりが悪いので濡れタオルを絞ってぬぐいます。このときも右手の親指や人差し指に濡れタオルを巻くようにしてごしごしします。そんなわけで、支えている左にも力が入りますが右手、特に親指と人差し指の腹には圧力というか負荷がかかりますからヒリヒリしてちょっと腫れたようになります。
使ったタオルがこんなにボロボロになります。このタオルもともと象牙色だったのですが、土の埃を吸収して焼いた今戸土、あるいは荒木田の色に染まっています。まだ布の残っている部分を親指や人差し指に巻いて指をゴシゴシさせるのですが、雑巾といい彩色に使う筆も素焼きの表面で摩耗します。
今回のお納め分の狐と火入れを磨き、拭い終わったなう。で午前4時を過ぎました。お風呂に入ってお湯で温めて指をぐうぱーさせてこわばった指の筋肉をケアしたいです。昔の今戸人形には上手から下手までのランクがあったように見受けられる中、鉄砲狐は奉納用に小絵馬のように消耗される性質のもので、昔の作り手の人々は鉄砲狐にやすりがけしていないような気がするのですがやっぱり胡粉や色のノリがよいほうが、と思ってやっています。