東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

ぶら人形

2021-10-29 07:26:03 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今さっき本体と手足を繋げて乾かしているところ。
「何だこれは?」「こわそう…。」と感じる方もいらっしゃいますかどうか。
 これは「ぶら人形」と呼ばれるもので、都内の近世遺跡からたくさん出土されているもので、本体と手足の連結が残っているものは観たことがありません。連結されていた素材は反故紙か何かたったのか、布は昔は貴重品だったから、せいぜい手ぬぐいの晒しとか、麻布だったのか、それともお呪い的な用途に連結されなかったのかどうか?

 伝世の人形で観たことあるのは愛好家の人が愛蔵していたという、江戸とか古いものではなくて、面相的に尾張屋 金澤春吉翁かその周辺の誰かが本体だけの状態に胡粉で地塗りして頭の青剃りみたいに水色か浅葱色に塗って、面描きしてある人形の写真を観たことがあります。
 研究家によっては「お墓から出たので副葬品」という意見も聞きますが、浅草橋の「人形は顔が命」の吉徳さんの前の店舗の建て替えのとき、地面から木箱に入った状態で裃雛や大黒様や鳩笛なんかと一緒に出てきた、という話が吉徳資料室の小林すみ江先生著の「人形歳時記」に出て来て、副葬品として人形屋で取り扱うというのはどうか?手慰み品として扱っていたとすれば自然、というような話を読みかじっていたし、実際出土した場所はお墓ではないところもたくさん
あるので他の今戸の人形とともに子供の遊び相手であったのだろうと思って作っています。

 今回は3回目で、はじめて取り組んだのはまだ日本橋の東急百貨店があって、正月の郷土玩具即売会が行われていた頃。遺跡報告書の図を参考に作ったので巨大で不気味な感じ。その数年後、まだ30代の頃、サイズをコンパクトにして、相変わらず報告書の図を頼りに彩色は先の写真の印象で手足の連結は反故代用紙を使いました。
 その後、手持ちの古い郷土玩具と物々交換で色の取れた本体が手元に来たのでそれをお手本に再度チャレンジしようと思ったまま10年以上過ぎてしまい、やっと今回に至りました。
 今回は反故紙ではなく布で連結してみようと、手に入れた汚れた古い麻布を数日漂白剤に晒してきれいにしたものもを蘇芳の煮出し汁で染めておいたものを使います。色は、赤系なら蘇芳、時代の古い、高級品の抱き人形には浅葱色に染められた縮緬が使われていたりしたので、麻布を藍でもよいか?とも思っていたのですが。
 ぶら人形は例えば鴻巣とか越谷辺りで練り(桐の木屑につなぎを混ぜて練ったもの)が実際存在して何より軽くて、持ちやすいのに対して、本体も手足も素焼きで重く、落とせばすぐ割れてしまう素材だというのがふしきですが、実際出土品はたくさんあるものだし、それだけたくさん作られたものだったのだから、研究家ではないけれど自分なりの好奇心と想定で作ったもの。
 どうでんすな。

鉄砲狐(佐野屋風)

2021-10-26 23:22:16 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
  
 あれもやりたい、これもやりたいと気持ちがあるのに、なかなか原型から割型を起こす余裕のない毎日ですが、久しぶりの新しい型起こしです。鉄砲狐にもさまざまあり、伝世品から近世遺跡からの出土品に至るまで大小さまざまあり、種類の幅はどれだけあるのか知れません。
 鉄砲狐て言って、いちばんイメージされやすいのが、台に乗って正面向きに鎮座し、台に赤系と青系の交互の縞を入れたタイプだと思いますが、その縞タイプでも、モデリングに差があって、ひとつではありません。
 台の高さや幅にも違いかあり、台のないのもあります。

 今回作ったのは、昭和戦前まで狐を主に作っていたらしい、佐野屋の加野とくさんの作では…?と思われる狐をお手本にしてました。台が低い分、狐のモデリングにボリューム感があるような気がします。背面の尻尾は薄く貼り付いた感じ額から鼻先にかけてぼったりしています。
 胡粉地の上にキラ(雲母粉)を塗り、鼻孔や口は省略されていません。眉も描かれています。
 胸のワンポイントはもとは宝珠だったのが、略された名残なのではないかと思います。胸から両前足、腰にかけて刷り込みが入って温かみがあります。
 台には縞を入れずに墨一色でベタに塗っています。
 
 他にもいろいろな鉄砲狐の作例があるので、お手本にしてやってみたいです。

お知らせ 国立近代美術館「民藝の100年」展 (銀座 たくみ)さん

2021-10-26 00:46:55 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 10月26日(火)から来年2月13日(日)、東京竹橋の国立近代美術館で開催される「民藝の100年」展。
 期間中、会場内に特設ショップにかくちの民芸店のご出店があり。「銀座 たくみ民藝店」さんが10月26日から11月7日までの2週間出店されるそうです。今回、拙作の人形もショップ内に並べてくださるとのことでご指示いただいた種類をお納めさせていただきました。
 全種類ではなくて、たくみさんのご指定のものだけですが、お知らせさせていただきます。
丸〆猫(昭和戦前風型・朱)、丸〆猫(嘉永安政風型)、丸〆小判猫、玉兎、装束稲荷招き狐、犬、虎(一刀彫風)、狐馬、天神、みみずく、鉄砲狐。
 詳しくは「銀座 たくみ」さんへお問い合わせください。
 
 展覧会のほう、自分も時間があれば観に行ってみたいです。



トンネルを抜けると…

2021-10-16 18:34:49 | 日々
 
 今日ずーっと取組んでいた、自分にとっては数の大きな納めが済んで、とにかく安堵。長い海底トンネルを抜けて、太陽と外気に触れたような気分。普段作る数ではないので、作業環境をふくめて能力不足を感じましたけど、とりあえず先方ご指定の納期には間に合いました。セロファンで包む前のうさぎや狐に小判猫たち。
 銀座に納めに行った帰り、新橋駅の構内ではじめて見たガチャポンの自販機コーナー。
 件の昔つくった丸〆猫から起こしたというフィギュアもありました 。

 今夜はひとりご褒美サラダとハイボール。
 但し、このあとのお納めや出品の支度め等たんとあり、油断せず明日からまたがんばります。